大学コンソーシアムひょうご神戸地域交流委員会主催のシンポジウム「子育て支援に関する講演会」が6月17日、ミント神戸17階にある神戸親和女子大三宮サテライトキャンパスで行われた。学生など約130人が会場に足を運び、講演者らの話に耳を傾けていた。【6月17日 神戸大NEWS NET=UNN】
大学コンソーシアムひょうご神戸で、子育てをテーマに扱うシンポジウムは今回が初めて。学生や子育て支援ボランティアのほかに、子育て問題に関心を寄せる人々が数多く来場した。
開会のあいさつで、大学コンソーシアムひょうご神戸で理事を務める山根耕平・神戸親和女子大学長(やまね・こうへい)が「今、子育ては社会の切実な課題となっている。今回のシンポジウムで(子育ての)新しいアプローチ、視点が見つかればいいと思う」と話した。
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の小田豊・理事長(おだ・ゆたか)を招いての基調講演が行われた。講演で、「子育て支援は本当に必要なのか。国が(国民を)縛ることになるのではないか」と小田さんは話し、政府による国民の子育て支援の義務づけを危惧した。そう話した直後に小田さんが「国の機関で勤めていても(政策)批判はできる」と話すと場内に笑いが起きた。
基調講演のあと、パネル討論が行われた。パネリストとして冨永良喜・兵教大教授(とみなが・よしき)、武田信子・武蔵大教授(たけだ・のぶこ)、高田哲・神戸大医学部教授(たかだ・さとし)が招かれ、それぞれ子育て支援に関して意見を述べた。冨永教授は「怒りや憎しみや悲しみとの望ましいつきあい方 ストレスマネジメントとトラウマ」をテーマに、少年事件の背景、児童虐待の現実などを写真を交えて話し、子育て支援を行うには「本音を話せる社会づくりが必要」と述べた。武田教授はカナダ、オランダの子育て支援政策と、日本とを比較しながら議論を進め、子育ては「人間の五感を大事にしていく」ことが重要という考えを発表した。高田教授は、子育て支援施設「あーち」で行われている「発達支援教室ぽっとらっく」など、神戸大による子育てについての地域連携事業を紹介した。高田教授は学生に向けて「ボランティア活動に参加してほしい。参加して、経験を積んで教養をつけていければいい」と話した。
パネル討論後、受講者からパネリストへの質疑が行われ、閉会した。会を終えて、今回のシンポジウムを企画し、コーディネーターを務めた石岡由紀・神戸親和女子大准教授(いしおか・ゆき)は、「普段から子育ての現場に携わっている方たちの生の声を、わかりやすく、そして具体的に聞けたことはとても有意義だった」と話した。
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