海上災害を考える 海事で公開講座

神戸大海事科学部は8月1日、深江キャンパスで公開講座「マリンハザードを考える-津波のメカニズムから防災対策まで-」を開講した。小林英一(えいいち)海事科学部教授、石田憲治(けんじ)海事科学部教授が、海上災害(マリンハザード)発生時の対策について自身の考えをそれぞれ話した。【8月1日 神戸大NEWS NET=UNN】

 今講座は海上災害対策を大きなテーマと置き、小林英一教授は近年起こるといわれている南海地震によって津波が発生した際の大阪湾内にいる船舶の避難対策などについて話し、石田教授は災害が発生した際、船舶による救命活動などを行うボランティア船支援ネットワークについて話した。学生から社会人まで幅広い層が来場し、講演者らの話に耳を傾けていた。

<船舶の迅速な避難方法を考える>
 南海地震は30年以内に約50%の確率で発生し、地震が発生してから約1時間半後には大阪市、神戸市などに2mほどの津波が繰り返し来ると考えられている。しかし、大阪湾周辺は近代化されてから津波による被害の経験がなく、船舶の避難対策があまり練られていない。
 小林教授はこうした現状を打開する一つの手段として出船係船からの離岸を提案。舳先(へさき)を沖に向けて停泊させることで、スムーズな離岸を行うことができる。しかし、地震発生後、船員の安全確保や施設の稼働状態など様々な課題があり、小林教授は「適切な(船舶の)避難方法が課題であり、ある程度の指針は見えてきているが、継続的な検討が必要」と話した。



<海上支援体制を整える>
Photo 石田教授は、阪神・淡路大震災、ナホトカ号重油流出事故などから、災害が起こった際、船舶による支援が有効であることに目をつけ、海上自衛隊や海上保安庁以外の船舶による救命活動、物資・人材の海上運搬業務を行う「ボランティア船ネットワーク」を構想していることを発表した。
 石田教授らの研究グループが震災時の海上支援活動を調査したところ、地震が発生してから3日間海上支援がほとんど行われていないことがわかった。石田教授は「広島からでも(船舶なら)約10時間で(神戸に)いける。災害が発生しても3日間以内で(被災地に)いける」と話し、災害発生後、迅速な海上支援を行うことが必要である考えを明らかにした。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

月別アーカイブ

サークル・部活総覧

  1. 神戸大のサークル・部活のツイッター・アカウントを探せるぞっ!クリックすると、『神大PORT…
  2.  神戸大学の文化系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  3. 神戸大学のスポーツ系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  4. 神戸大学の医学部のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随時更…
ページ上部へ戻る