扉の向こうの出会い 神戸大生バーの本出版

神戸三ノ宮にある42店のバーを紹介したガイドブック「バーへ行こう 三ノ宮編」が出版された。本を製作したのは神戸大経営学部4回生の佐藤充紀さんを中心としたnicoという5人グループで、大学生活の間に「何かに泣けるほど没頭したい」という気持ちから三ノ宮のバー巡りを開始した。当初フリーペーパーを目的として製作されていたが、さらに多くの人にバーの情報を知ってもらいたいという思いから書籍化され、一般の書店でも販売されている。【2月5日 神戸大NEWS NET=UNN】


 nicoが結成されたのは一昨年の10月。当初のメンバーは同じ経営学部の友人同士の3人。3人は自分のやりたいことに一心に打ち込むきっかけを探していた。3人ともがお酒が好きだったこともあり、テーマはバーにしぼられた。バーには大げさな広告もなく、居酒屋に比べて行きづらいと思っている人も少なくない。自分たちの活動で、バーの本当の雰囲気が伝えられたらという気持ちで三ノ宮のバーを回る活動が始まった。三ノ宮のバーといっても何の情報もなく、バーにおけるルールも知らないうちは、地図片手にバーにたどり着いても「いらん」、「帰れ」と言われる事もあった。しかし、強い思いで活動を続けるうちに、学生だからとあたたかく協力してくれる店の数が増えてきた。気づけば100店以上のバーに足を運んでいた。懸命な活動の末に、フリーペーパーが完成した。しかし完成したフリーペーパーに対する反応も、「お客さんが増えない」など厳しい声もあった。でも一方では「学生がこういうものを作ってることだけですごいことなんだからもっとがんばれ」と励まされた。優しさも厳しさも、バーテンダーさんとの関わりはメンバーにとってかけがえのない体験となった。「怒られたり、けなされたりもしたけど、それら全部が楽しかった」(佐藤さん)。メンバーも3人から5人に増えた。

 バーでは毎日様々なドラマが生まれている。お互い名前も知らない他人同士。でもひとたびバーで出会えば、たまたま席が隣同士になればそれで十分。お互い気さくに語り合い、時間を共有する。「バーにいると人と人との距離が近い。そこにはバーテンダーさんも含まれている。自分としてもバーに一歩入れば少し大人になれる気がする。バーには居酒屋とは違う雰囲気がある」(村上侑さん)。

 フリーペーパーにとどまらず、本として流通にのせる際にはさらに趣向を凝らした。慣れないパソコンでの編集作業に苦しみながらも、バーで知り合った人たちから聞いた話や、自分たちの好きなお酒にまつわる言い伝えや物語を添えた。「個人の好みで選んだ題材だが、数多くあるお酒の種類を楽しんでほしい」(森優樹さん)。書店での販売部数は1000部。その他、神戸大生協でも販売している。売り上げは上々だ。「この本が教科書になることは望んでいない。ただ、この本を読むことによって入りづらいと思われているバーに少しでも入りやすくなればいいと思う」(佐藤さん)。

 本としての販売を達成したnicoだが、これはゴールではないとメンバーは語る。「この本はやりたいという気持ち一つでできあがった本。大学生活の間、やりたいという強い気持ちさえあれば何でも出来ると思う。やると言い出したことを最後までやり通せて自信になったし、もう一度くらい何かに挑戦したいと思っている」と佐藤さんは語る。

 nicoはこれから3回生に引き継がれるが、引き継いでいきたいものは「何でもできる」環境であり、自分たちがバーに没頭したように一生懸命没頭できる環境だと話した。

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