未知の「惑星X(エックス、仮名)」が、太陽系外縁部に存在する可能性が高まったという研究結果を、理学研究科のパトリック・ソフィア・リカフィカ研究員と向井正教授が2月28日、瀧川記念館での会見で発表した。【2月28日 神戸大NEWS NET=UNN】
太陽系外縁部とは、太陽系で現在確認されている最も太陽より離れた惑星、海王星(冥王星は06年に惑星ではなくなる)より遠い場所のこと。この日の会見でブラジル人のリカフィカ研究員は、理論的に惑星Xが太陽系外縁部に存在する可能性を、太陽系の歴史と同じ40億年分のシミュレーションにより確認したと説明した。
海王星以遠の天体の軌道は円形ではなく楕円形をしたものが多く、その原因は解明されていない。今回の研究は海王星以遠に存在する未知の天体などの重力が影響しているのではないか、という考えの中で始まった。
リカフィカ研究員らは40億年前にガスの塊から生まれた「惑星X」が天王星と海王星に飛ばされ、その後木星以遠の惑星を重力により引っ張ったと仮定。シミュレーションを2年間、約1000回にわたり繰り返した結果、「惑星X」の軌道が説明できるようになりこの日の発表に至った。
現在太陽系の惑星は8つ。向井教授によるとこの「惑星X」は黄道面から20~40度傾いた軌道を取り、直径1万-1万6000キロ。質量は地球の30-70パーセントで氷に覆われ、生命体の存在する可能性は低い。しかし現在の惑星の定義(太陽の周りを回る、十分大きな質量を持ち、ほぼ球状、その軌道付近に他の天体が存在しない=国際天文学連合・2006年)を満たす可能性が高く、承認されれば9つ目の太陽系惑星となる。
「早ければ5-10年で」発見されることもあるが、「惑星X」は約1000年かけて公転をしているとされ、「現在の場所が悪ければ500年以上」発見に時間を要する可能性もある。だが現在の神戸大にはこの「惑星X」を観察するための大規模な装置がなく、今後はハワイと台湾の施設に協力を要請する方針。
向井教授は「これからの観測に対する大きなモチベーションになる」とこの発表の意味合いについて話し、「学生には授業の中でこの話をしていきたい。発見に何年かかるかわからないので、観測に興味を持つ学生がこの研究を引き継いでくれれば」と理学部、理学研究科の学生にも期待を寄せた。
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