交響楽団による「青野原俘虜収容所再現演奏会」が8月20日、瀧川学術交流記念会館で行われた。団員らは約90年前に演奏された楽曲を見事に再現。関係者をはじめ、学生や教職員が数多く詰めかけ、9月にウィーンで演奏会を行う団員らにエールを送った。【8月21日 神戸大NEWS NET=UNN】
「青野原俘虜収容所再現演奏会」は1919年3月30日に小野市の青野ヶ原にあった俘虜収容所でドイツ・オーストリア=ハンガリー兵によって行われた慈善演奏会を当時の楽曲のまま再現したもの。8月10日には収容所があった小野市で公演が行われ、400人を超える観客が訪れた。9月3日には同日からオーストリアのウィーンで開催される「青野原俘虜収容所里帰り展覧会」の開会式にあわせて演奏する。ウィーンの軍事史博物館でも5日に公演が行われる予定だ。今回の公演はウィーンで演奏を行う団員29人の壮行会を兼ねて開催された。
演奏されたのは19世紀のヨーロッパで作られた6曲。吹奏楽中心の構成で歌劇、戯曲など繊細でおだやかな楽曲が大半を占める。シューベルトの軍隊行進曲第一番が6曲目に演奏されたあと、アンコールには1曲目の歌劇「レーモン」序曲(A.トマ作曲)の後半部分が奏でられた。来場した100人以上の観客は団員らに惜しみない拍手を贈った。
「お客さんが近くて緊張した」と話したのは渉外担当の藤井大樹さん。普段演奏する会場とは違い、今回はロビーで行われたため客席との位置が近く目線の高さも同じ。楽曲の性質も異なるため「技術も編成も全然違う」(藤井さん)。音程や音の強弱など基本的な部分を重視した。サマーコンサート後、試験期間を経て夏休みも返上で練習に打ち込んだ。
海外での演奏は1915年に創立された交響楽団の歴史の中で初めて。2006年に同記念館で再現演奏会を行い、藤井さん自身も参加していたが、今年の3月にウィーンで演奏を行うと聞いたときは驚いたという。「どんなお客さんかわからない。(受け入れられるかどうか)不安はあるが、ウィーンで演奏できるのが楽しみ」と藤井さんは笑顔を見せた。
「青野原俘虜収容所里帰り展覧会」は9月3日からオーストリア・ウィーンの国家文書館で。10月29日まで開催される。ウィーンで演奏を行う29人の団員は9月1日に日本を出発する予定。
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