「震災・記憶・史料 阪神・淡路大震災報道の歴史的検証」と題されたシンポジウムが12月7日、人と防災未来センターにて行われた。約40人が、新聞という資料についての報告会とディスカッションに参加した。【12月11日 神戸大NEWS NET=UNN】
このシンポジウムの主催者である「歴史資料ネットワーク」は、被災資料の救出を目的に結成されたボランティア団体だ。このシンポジウムは阪神・淡路大震災が起こった1995年から、年1回の頻度で開催されている。
今回は、歴史的資料としての新聞について、研究する立場である歴史学者と、作る立場である記者の対話をコンセプトにセッションが行われた。元朝日新聞編集委員・現在関学教授・山中茂樹さん、読売新聞の堀井宏悦記者、神戸新聞の石崎勝伸記者の3人により、3つの違う立場からの阪神・淡路大震災に対する報道の現状が報告された。震災に対する報道の仕方が関西と関東で異なることや、歴史資料についての視点の変化などが挙げられた。関西では震災の現状を伝えようとしているのに対し、関東では『東京でこのような地震が起こったら』という仮定の話や防災・復興の記事がメインだった。この東西の温度差に悩む記者の声も伝えられた。
歴史学者の立場からは、同ネットワーク研究員の佐々木和子さんが参加した。佐々木さんは、資料としての新聞を『収集すべきものから、資料になる前の生の声を伝えるもの』と見なす多元的な視点へと変化していることなどについて述べた。
同ネットワークで神戸大教授の奥村弘さんは「関西の外側から震災の報道をしていた人々の間でも議論があったことを初めて知った」と新しい切り口のシンポジウムの発見を話した。
シンポジウムに参加した尾島志保さん(阪大文学部院生)は「身近な新聞のでき方を聞き、記事の内容や情報を得る自分を相対的に見る事ができ、興味深かった」と話した。
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