鮮やかな音の大合奏 マンドリンクラブ、第53回定期演奏会

神戸大マンドリンクラブの第53回定期演奏会が12月20日、神戸芸術センターで行われた。100人を超える奏者による厚みある大合奏に観客は惜しみない拍手を送った。【12月30日 神戸大NEWS NET=UNN】?

 第1部は遠藤秀安作曲「マンドリンオーケストラのための『懶(らん)』」で幕を開けた。「懶」という漢字は、おこたる、なまけるといった意味を持つ。「自分自身の『こうありたい・こうあらねばならない』という思いと現在の自分の状況の落差、理想と現実の狭間に埋もれる不安な気持ち」という作曲者が曲に込めた思いを、第53代指揮者(今年度本指揮者)の材木悠也さん(経済・3年)の指揮が描き出した。?

 第2部は昨年の本指揮者のステージとなっている。ここでは昨年の本指揮者が演奏する曲を決定する。今回は吉水秀徳ステージと題し、「無言歌」と「3 Dimensions」が第52代指揮者の稲川はるかさん(神戸海星女学大・4年)の指揮により演奏された。「無言歌」はマンドリン部が吉水さんに作曲を依嘱した作品であり、今回が初演となる。やや難しめの選曲となるこのステージでは1年生は演奏を行わない。2年生から4年生までが、言葉のない歌と、一人の人間の生き方を3つの側面(Amusement・Sentimental・Movement)から捉えた作品の演奏を行った。?

 最後のステージでは、O.Carlini作曲の幻想曲「戦場の花」より第一楽章・第四楽章と、小林由直作曲「風の軌跡」が演奏された。特に風の持つイメージをいくつかのもモチーフで表現した作品、「風の軌跡」は作曲者の小林さんも練習に立ちあい、指導を行った曲。本指揮者の材木さんの最も思い入れが強い作品へと仕上がった。  

 舞台が無事終了し、材木さんは「楽しかった。感動した。とにかくやりきった」と興奮冷めやらぬ様子で話した。マンドリンクラブは今年28人の1年生を迎え、100人を超す規模の部活となった。「これだけの大人数を『演奏会を成功させる』という1つの思いにまとめるのが大変だった」と材木さんは話す。指揮者は、「つらいこともしんどいこともあったと思うけど、ついてきてくれて頑張ってくれてありがとう」と部員達に感謝の気持ちを伝えた。 ?
 演奏会に来ていた発達科学部の1年生は「マンドリンの演奏を聴くのは初めて。すごいと思った。『風の軌跡』の和音がきれいだった」と話した。

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