母への手紙、歌として熱唱 コンサートに加藤律子さん参加

阪神淡路大震災で亡くなった当時神戸大法学部2年だった加藤貴光さんが母の律子さんに送った手紙に曲をつけ、「親愛なる母上様」と題する歌を作った音楽家の奥野勝利さんが1月17日にシーサイドホテル舞子ビラ神戸でチャリティーコンサートを開いた。ゲストとして律子さんも参加し、貴光さんとの思い出や奥野さんとの出会いを話した。【1月19日 神戸大NEWS NET=UNN】

 湾岸戦争に憤り、国際法を確立するために国連職員を目指していた貴光さんは下宿先の西宮市のマンションが全壊し、亡くなった。「人間同志は、絶対友情を保てる」という信念のもと、生前は国際学生会議(ISA)に所属。4年生になれば留学し、外国の大学院に進学することを希望していたところだった。

 貴光さんは大学の入学式2日前に律子さんに手紙を渡していた。2人で下宿先に3日間泊まり、新大阪駅から実家がある広島まで律子さんが帰るときだった。新幹線のドアが閉まったあと、車窓越しに貴光さんがポケットの中を見るように指差した。そこにはこっそりと忍ばせていた手紙が入っていた。

 「私はあなたから多くの羽根をいただいてきました。人を愛すること、自分を戒めること、人に愛されること……。この二十年で、私の翼には立派な羽根がそろってゆきました。そして今、私はこの翼で大空へ翔び立とうとしています。誰よりも高く、強く自在に飛べるこの翼で」。(一部抜粋)

 奥野さんは一昨年の1月17日にインターネットで偶然その手紙を見つけ、曲をつけて「親愛なる母上様」という歌を作った。同年の11月には律子さんも歌の存在を知り、奥野さんと何度もメールをやりとりして2人は対面。昨年の1月17日に神戸大六甲台キャンパスでコンサートを開いてから、以来各地で歌い続けてきた。

 この日、奥野さんは「親愛なる母上様」を含む8曲を披露した。生きていれば、貴光さんと奥野さんはともに35歳。ステージで律子さんは「この曲は2人の同い年の息子の曲です」と紹介。「この曲を聴いて自分が愛をもらったら、次の人に伝えてほしい。それが貴光が願った世界平和の一翼を担える」と歌への期待を話した。

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