震災から14年目の1月17日午前5時46分。今年も故・上野志乃さん(当時発達・2年)の父・政志さんが黙とうを捧げるため志乃さんが亡くなった下宿跡を訪れた。【1月17日 神戸大NEWS NET=UNN】
部活やアルバイトなどで忙しい日々を送っていた志乃さん。17日の朝、友達とのレポートの宿題を終え、こたつの中で休んでいた。その時、下宿が倒壊し亡くなった。
政志さんは手作りの竹灯篭に灯をともし、「箱」と呼ばれる慰霊碑に黙とうを捧げた。「周りの人の協力があり、毎年志乃に会いに来ることができているよ、ありがとう」と話しかけた。毎年、大人数で行われる慰霊祭には参加せず、下宿跡を訪れる。ここに来たら、志乃さんの顔が思い浮かぶという。
「最初は話をするのも嫌でした」。しかし、記者と話すうちに気持ちが楽になり、徐々に伝えたいという思いに変わった。現在では、中学校などで震災についての講演を行っている。
上野さんは「生と死は対極ではなく。生の逆は忘れること」と語る。14年経ち、震災について知らない学生も多い。「当事者の気持ちは分からないかもしれないが、まず知ること。そこからその気持ちに近づくことはできる」。震災を風化させない。上野さんの思いが言葉に込められていた。
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