「つながり」を求めて 発達科学部による無言劇

 発達科学部人間表現学科3年生による創作舞台「Chain」が、1月29日に六甲台講堂で行われた。音楽、美術、身体表現を学ぶ表現学科の学生らが、日々感じる「つながり」というものを言葉を用いない無言劇で表現した。【1月31日 神戸大NEWS NET=UNN】?


 発達科学部では、4年前に新学科として、現在の4つの学科が設立された。その中の人間表現学科では、音楽や美術、身体表現といった表現法を用い、「総合的パフォーマンスの実践的創造」を行っている。表現創作論コースに所属する学生たちを中心に「表現創造演習」として、第2期生となる3年生たち約40人がこの舞台を作りあげた。

 持ち主のいない無数の携帯電話が鳴り響く。最後まで鳴り続けたひとつをある青年が手にとったことから舞台は始まる。
 携帯電話によって青年は3つの世界に連れて行かれる。最初は人と人とのつながりを大切にしている世界。そこで青年が目にしたものは、楽しそうに遊ぶ子供たちと、一人仲間に入れない子供が徐々に交流を持ち始める様子だった。舞台の中では、紙風船が人と人とのつながり、人情を意味する道具となっている。青年は、全員が楽しそうに紙風船で遊ぶ様子にほっとするが、携帯電話により次の世界へ連れて行かれる。
 2つ目の世界は他人との関わりを一切持とうとしない人々の世界。青年が話しかけようとしても衝立で阻まれる。そこにいるのは衝立をもつ人間と二重人間。二重人間は人とうまく関わりたいという白い心と人との関わりなどどうでもよいという黒い心を持っている。黒い心が白い心を超え、感情がむき出しになったとき、人はお互いにぶつかってしまう。そうして傷ついた黒い心が衝立を手にし、他人を阻む人間へとなっていく。
 最後は現代の世界。自分の枠に閉じこもったまま人と関わろうとしない人間と、自分の枠があるからこそ他人とぶつかる人間がいた。青年が紙風船を手渡していくことで、徐々に人と人とのつながりが生まれる。しかし、そんな中でも誰とも関わらない生き方を選ぶ人間もいる。人とのつながりをどう捉えるのか、という課題を残し、幕が下りた。Photo


 公演内容から、使用音楽、舞台美術、身体表現などすべてを自分たちの手で作り上げた。脚本の高畑侑季さんが「つながり」というテーマの前にまず思いついたのは、「人情の忘却」という言葉。携帯電話やインターネットなどコミュニケーションの方法が多様化する一方で、中身が失われてきているのではないか、というメッセージを脚本に込めた。言葉では言い表せないことを体で表すという、表現学科の専門を最大限見せたい、という思いから、自然と無言劇の形となった。
 準備は去年の5月頃から始まった。「一週間前のリハで、ようやく辿りつけるかな、と思った」と製作の藤田充子さん。それでも、舞台直前で動きを変えるなど、最後まで改善を続けた。
 総合演出の辻本泰子さんは「演出をするのは初めてで、戸惑うことも多かった。やっていく中で、一瞬一瞬成長できた。自分にとってプラスになったし、みんなで協力しあえてよかった」と舞台を振り返った。
 
 舞台を見に来ていた表現学科の3年生は、「同じ学年の人たちが舞台をやっていて感慨深かった。ひいき目かもしれないけど、去年より良かった」と話した。

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