地域史料の大切さに触れて 卒業論文報告会

県内の地域史を研究した学生の卒業論文の報告会が、歴史資料ネットワークと神戸史学会の主催により3月8日、西宮市大学交流センター(ACTA西宮東館6F)で行われた。参加者約30人が、学生が熱意をもって仕上げた論文の報告に耳を傾けた。【3月11日 神戸大NEWS NET=UNN】?

 この報告会は2005年から始まり、今回で4回目の開催となる。
 報告会で発表を行った学生は3人。阪大の檜垣和志さん(文・4年)が「中世興福寺の大衆統制」について発表。続いて、神戸大の山田美佳さん(文・4年)が「明治末期新世界設立過程にみる大阪市政の動向」について卒論報告を行なった。新世界という場所で、歴史的経緯がはっきりしていない空白の時期、何が行われていたのか、という考察がなされた。山田さんは、「中学生のころ学校の先生に『新世界が明治期に特徴的な場所であり、ここから大阪の近代文化が花開いた』ということを教わったことがきっかけで、このテーマを選択した」と話した。「戦前期に電気で動く機械といったものが存在した新世界に憧れをもっていた」。「史料が膨大すぎて、収集がつかなかった。整理された資料が多かったので、もっと生身の史料にふれたかった」と史料集めの大変さを語った。
 神戸大の森田順子さん(文・4年)は「大正期の地方鉄道敷設過程にみる地方政治状況―出石鉄道を事例に―」というテーマで報告を行なった。「地域資料を身近なところから発掘していくことの意義・面白さに気づく中で、地元出石にあった出石鉄道に出会い、このテーマに取り組んだ」と話した。自身の卒論について、事実を歴史的につなぎ合わせたもの、という認識を持つ山田さん。「卒業後は、自分が何か歴史的なことを明らかにしなくてもよいので、歴史史料の保存活動に関わりたい」と希望を話した

  報告会の主催者、雑誌「歴史と神戸」を発行する神戸史学会の大国正美さんは、「卒論発表を学外で行うことによって、大学と市民社会のずれを埋め歴史資料の大切さを伝える」と開催の意義を語った。

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