「弱小チーム」野球にかける思い 自由劇場新歓公演

神戸大演劇部自由劇場の新歓公演「風のピンチヒッター ~再試合~」(作:大塚雅史、演出:伊勢一太郎)が、4月28日から5月1日まで国際文化学部D300教室(シアター300)で行われた。疾走感のある演技に観客は大きな拍手を送った。【5月3日 神戸大NEWS NET=UNN】?

 「さあ、野球を始めよう。」が合言葉。
 「風のピンチヒッター」と呼ばれる野球選手の父を持つミナミは三高に転校することに。ミナミはそこで同時期に転校して来た名門校のエース・キタカゼと勘違いされ、野球部に入部する。しかしミナミ自身は小さな体に運動神経ゼロだった。キタカゼが入部したと聞いて部に戻ってきたくせ者だらけのメンバー達、野球のルールを知らない新監督。三高一の不良や噂のキタカゼも入部し、ようやく三高ナイン達が揃う。甲子園を目指す彼らの一試合目相手校は強豪チーム星上高だった。いきなり強豪チームと試合することになった弱小三高ナインたちは、1点をとることを目標に星上高に試合を挑む。?

Photo 主演を務めた簗瀬仁美さん(発達・2年)が演じたのは男性役。異性を演じるため、「内股になってしまったり、細かい仕草を直すのが難しかった」と話す。「野球をやったことがないので、ピッチングの練習なども大変だった」と演技の難しさを語った。?

 今回が初演出となる伊勢翔吾さん(発達・3年)は「人が一生懸命に走ってるのを見て泣いてほしくてスポーツものを選んだ」と話す。わかりやすい主題で感動してもらいたい、という思いがあった。
 「野球」というテーマを舞台上で演出する苦労は様々だ。グランドの広さや、実際にはないボールの表現方法に頭を使った。何より、主演の簗瀬さんだけでなくほとんどが野球未経験者。ルールすらわからない部員もいるなかで、フォームの練習から始めた。野球の実際の空気を体感するため、部員全員で甲子園に試合を見に行くなど、徹底した準備をした。
   「ハイテンション・ハイテンポ」を売りとする自由劇場。パワーのある演出で、伊勢さんの思う「自由劇場」を作りあげた。?

 今公演から、改修工事のため、使い慣れた六甲台講堂からシアター300へ公演の 場を移した。慣れない場所で、舞台を作りあげることには時間がかかったものの 、「新入生が来易いなどのメリットもたくさんある。使っていくうちにいい感じ になるだろうし、ネガティブには考えてない」と伊勢さんは話す。?

 舞台を見に来た文学部の学生は「笑えるところがありながらも最後は感動的で、とても楽しめた」と話した。

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