学生らが「震災」と向きあう 合同フィールドワーク開催

阪神淡路大震災について、当時の写真をもとに学生らが取材をして、学習する「震災学習プロジェクト」の合同フィールドワークが4月29日、芦屋市、神戸市の各所で行われた。取材には発達科学部や附属住吉中の学生も含めて、6グループ、28人が参加。当時の写真が撮られた場所を巡り、震災についての理解を深めていた。【5月28日 神戸大NEWS NET=UNN】

 同プロジェクトは平成11年に一橋出版から発行された震災学習ブックレット『語り継ぎたい。命の尊さ~阪神大震災ノート』(住田功一著、ニュースネットが制作協力)を読んだ学生らが、掲載されている写真をもとに当時の状況を調べ、学習することを目的に今年3月からスタートした。神戸、京都、静岡、神奈川の中・高校生、大学生が参加し、写真を撮影したカメラマンや関係者に取材を行っている。

 阪神芦屋駅からスタートした取材は、震災で崩壊したマンションがあった場所や倒壊した阪神高速神戸線を見学。写真が撮影された場所を訪れた参加者らは、当時の写真と見比べながら「信じられない」など驚きの声を上げていた。  神戸市東灘区内で、震災により、はりがねのように曲がってしまった阪神本線のレールを撮影した白石辰士さん(当時立命1年=UNN関西学生報道連盟所属)は当時の状況を「わけがわからなかった」と振り返った。悲しみよりも驚きが大きかったという。阪急西宮北口駅から歩いて神戸に向かい、シャッターを切り続けた。白石さんは当時京都に下宿していたが、震災による被害はなかった。「荷物をたくさん背負って避難する人々を見ると負い目を感じた」。被災地を撮ることで、被災者の反感を買っているのではないか、と葛藤していた当時の心境を話した。
 震災で最も被害が大きかった地域の一つで、3人の神戸大生が亡くなった西尾荘(灘区六甲町2)の隣に住んでいた薮田洋子さんに取材。当時の学生らの様子や自身が被災したときの思いを聞いた。亡くなった3人を、西尾荘に住んでいた神戸大生らが助け出そうとしているときのことや倒壊した西尾荘に火が迫ったときの状況を、学生らは神妙な面持ちでメモを取っていた。
 最後に、平成7年3月に震災で亡くなった神戸大生の合同慰霊祭が行われた六甲台講堂、避難所となった国文体育館を訪れた。当時の写真と見比べながら、撮影された位置などを確認するなど、神戸大生にとって身近な場所に刻まれた震災の歴史に触れた。

 取材に参加した北野達也さん(発達・4年)は「(実際に見る)風景は復興した現代の街並みだが、撮影現場に立って当時取られた写真と今の姿を見比べ話を聞くと、ただ写真を見るだけよりも感じられるものが大きかった。震災のイメージというものが各自の中に出来てきたと思う」と話した。
 同プロジェクトのアドバイザー役をつとめる、著者でNHKアナウンサーの住田功一さん(昭和58年・経営卒)は、「撮影したカメラマン・記者へのインタビュー、現地訪問、関係者インタビューを通じて、『“あの日”のできごと』を調べ、被災者の思いに少しでも近づこうと、生徒や学生たちは意欲的です」と話している。  今年度中には防災ワークブックの出版や、各校、各チームで文化祭やブログなどの場で発表される予定。

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