阪神・淡路大震災での教訓をきっかけに始まった災害救助ロボットの大会、第9回レスキューロボットコンテストが、8月8日と9日の2日間にわたって神戸サンボーホールで開催された。神戸大からはロボット研究会「六甲おろし」チームが出場したが、ロボットが故障するトラブルに見舞われるなどして得点がのびず、1回戦を突破することは出来なかった。【8月12日 神戸大NEWS NET=UNN】
9度目の開催となったレスキューロボットコンテスト。今年は大学生や高校生、社会人など19チームが本選に出場した。震災で倒壊した市街地を6分の1スケールで模したフィールド内において、レスキューロボットを遠隔操作。要救助者に見立てた人形をいかに「早く」、「優しく」救助し、安全な場所へ搬送できるかを競った。
◯神戸大は初日敗退?
昨年のコンテストでは競技における総合得点で首位を獲得するなど、最も優れたレスキュー活動を行ったとして、レスキュー工学大賞を受賞した「六甲おろし」。 今年は、前回大活躍した「こがらし」の設計をベースに改良を加えた1号機「ナナホシ」、そして向きを変えずに左右に移動できる特性を持つ2号機「クワガタ」という2台のロボットでコンテストにのぞんだ。?
しかし、ファーストミッション(1回戦)の競技中に「クワガタ」がトラブルに見舞われる。左右の平行移動を可能にするはずの「変形機構」が動かない。この故障の影響もあり、ダミー人形を1体救出することに成功したものの、「六甲おろし」の得点は65点にとどまった。?
2日目の日程へ進むことができるのは、ファーストミッションで10位以内に入ったチームのみ。ファーストミッションの最終順位が11位となった「六甲おろし」は、1日目で姿を消すこととなった。メンバーの太刀内寛人さん(工・3年)は「今年のロボットは不備が多くて動かないのが多かった」と振り返り、「来年はしっかり練習から動かせて本番でもしっかり動かせるようにしたい」と話した。?
◯表彰式 競基弘賞の奨励賞も
今年のレスキュー工学大賞は、競技の総合ポイントでも最高得点を記録した名古屋工業大「レスコン工房」チームが受賞した。レスキュー工学大賞は、レスキュー工学の観点から「コンセプト」、「技術力」、「実践力」に着目し、最もすぐれたチームに贈られる賞。本選だけでなく応募書類から中間審査、ファーストミッションまでを総合的に評価して選出する。?
また、レスキューロボット、システムの研究開発に貢献した40才未満の若手研究者を表彰する「競基弘賞」の奨励賞が、今年からレスキューロボットコンテストに設置されることになった。奨励賞は、研究者ではなく大学院生、大学生、高校生など、より若い年代を対象としているという。?
「競基弘賞」は、震災によって命を落とした競基弘さん(当時=自然科学研究科博士前期課程・1年)にその名を由来し、競さんの「人をいやすロボットをつくりたい」という遺志を継いで松野文俊・京大教授らが中心となって創設した賞。松野教授は震災当時、神戸大で競さんの指導教官をつとめていた。
表彰式にはプレゼンターとして松野教授が登場。「レスキューの心を大事に取り組んだ」(松野教授)といった選考基準から、同賞は岡山県立大のロボット研究サークル「メヒャ!」に贈られた。?
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