神戸大学生震災救援隊の学生らが9月20日、石川県七尾市中島町で行われた「お熊甲祭」に参加した。学生らは普段触れる機会の少ない能登地域の伝統行事を体験。汗だくになりながらも、「枠旗(わくはた)」と呼ばれる高さ20メートルにも及ぶみこし状の旗を担ぎ、威勢のいい掛け声とともに町中を練り歩いた。【9月24日 神戸大NEWS NET=UNN】?
「お熊甲祭」は同町の久麻加夫都阿良加志比古(くまかぶとあらかしひこ)神社で毎年9月20日に行われる収穫祭で、同町内19の集落が参加する。枠旗は高さ約20メートルにも及ぶ真紅の旗で、先導する猿田彦(さるたひこ)やみこしとともに集落を練り歩く。女性には担ぐことが許されていないため、今回は神戸大の男子学生4人が住民らとともに2つの枠旗を担いだ。
きっかけは、「どぼんこ・さるたひこ地域協議会」の事務局長で同町小牧(おまき)壮年団の加賀淳一さんが昨年、大学コンソーシアム石川に協力を要請したことだった。行列には約70人が必要となるが、担ぎ手が減少し、祭りへの参加が難しくなることを懸念した加賀さんが、地域貢献活動を行っている学生らに呼びかけた。今年は石川県内の大学、神戸大の学生・職員のほかに、神戸学院大、被災地NGO協働センター(神戸市)などから30人を超える有志が集まった。
祭りへの参加は救援隊としては初の試み。普段の活動とは直接つながりはないが、能登半島沖地震の災害復興支援を通じてよく訪れる地域の伝統に対し、理解を示す学生が多かった。
学生らは19日の準備から参加。枠旗の掃除や運搬、祭りに使う道具の修理も行った。祭りの行列に参加できない女子学生らは、「祭りごっつぉ」と呼ばれる郷土料理作りを手伝った。小牧女性会のメンバーとともに、学生らが釣ったイイダコの煮物を作った。
荘厳な境内の中に太鼓や鉦(かね)の独特なリズムが響く。「ヨイサー」と枠旗を担ぐ男らの威勢のいい声が会場を盛り上げる。頭上に担ぎ上げた枠旗を力いっぱい揺らしたり、枠旗が地面に触れるくらいまでに傾ける「島田くずし」と呼ばれる技を披露して見物客を沸かせた。
祭への参加やみこしを担ぐのは初めてという学生ら。汗だくになりながら、見よう見まねで担ぐうちに呼吸が合い、次第に動きが一つになった。今回初めてみこしを担いだという松田傭平さん(法・1年)は「地元(神戸市)の祭にも参加したことがなかった。地域に貢献したいという思いもあって参加したが、思ったより楽しかった」と話した。
加賀さんは「学生らの協力がなければ(枠旗を)1つしか出せなかった」と振り返る。担ぎ手が減少し、枠旗の本数や高さを減らして祭に出ていた小牧壮年団にとって、久しぶりに約20メートルの枠旗での参加となった。
学生を受け入れることに対し、地区内からも賛否の声は上がっていたが、「(学生らが)地域を理解した上で参加してくれている」と加賀さん。準備から本番まで、小牧の一員として祭を作り上げた学生らに対し「感謝の気持ちをどうやってあらわしたらいいのか」と称賛を贈った。
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