挑戦するジゲキ、1つ目の顔 自劇第164回公演

神戸大演劇部自由劇場の第164回公演「熱闘!!飛龍小学校★パワード」(作:西田シャトナー、演出:梶川明)が「JIGEKI W FACE PROJECT 1st face」として、11月24日から27日まで、国際文化学部キャンパスD300教室(シアター300)で行われた。めまぐるしい展開と熱い闘いに観客は、惜しみない拍手を贈った。【11月30日 神戸大NEWS NET=UNN】

 

 短期間に趣の異なる2つの作品を披露する「JIGEKI W FACE project」。第1弾は熱いバトルのドタバタ活劇だ。?

 「飛龍エメラルドを手にすれば、1年生ですら6年生を倒せるらしいぜ!」?

 舞台は個性豊かな小学生探偵が「噂」と「宝」を巡ってしのぎを削る飛龍小学校。3年生にしてナンバーワン探偵の赤木ジョーはある日、血のように赤い宝石を発掘する。その後彼の周りには異変が。宝石は噂の「飛龍エメラルド」だった。エメラルドをめぐって争う、支配者の番長軍団、正義と規律の児童会、そしてジョー。彼らの闘いを、コミカルかつ力強い演技とスピード感あふれる展開で描く。?

◯挑戦するジゲキ

 今公演で自劇は、セットや小道具を排除し、説明セリフや身振り、効果音だけを駆使して場面を描写した。「パワーマイム」と呼ばれる手法だ。おおげさな身体の動きとともに矢継ぎ早に擬音や説明セリフを発し、まさに「力づく」、肉体だけで観客の想像力に訴えかける。?

 この不慣れなパフォーマンスへの挑戦に加え、今回は舞台への体制自体も実験的。主役のジョーを演じた上島彰さん(発達)は1年生。なんと人生2度目の舞台で主役に抜てきされた。演出の梶川明さん(発達・4年)から「やってみいへんか」と主役を打診され、感想は「この人何をいってるんだろう」。不安もあったが、やってみたい気持ちが勝る形で大役に挑むことを決めたという。?

   10人中5人が1年生と、多くのキャストに新人を起用した今回の公演。フレッシュな布陣ではあるが、一方では経験不足への懸念もあった。その他、6週間半と通常より短い準備期間など、考えられた不安材料は挙げればきりがない。梶川さんは「ほんまにこれでいけるの」と周囲に心配されたことを明かす。?

Photo 迎えた24日、千秋楽。舞台には生き生きと演じ、飛び跳ね、走り回る新人役者の姿があった。?

 鳴り止まない拍手に包まれながら終了した公演後、スタッフやキャストの表情は一様に晴れやかだった。普段の自分とは違うクールな役を演じきり「ずっと役者をやっていたい」と芝居の楽しさを話す上島さん。梶川さんは新人らへの賞賛を熱っぽく語る。「とんでもないくらい(成長した)」、「(1年生が)ここまで出来るようになるとは」。そう話して笑顔を見せ、自らが手がけた舞台の成功以上に、奮闘した新人の成長を喜んでいた。?

◯そして「2nd face」へ

 盛況のうちに幕を閉じた熱く挑戦的な第1の「顔」。続く自劇「2つ目の顔」は恋愛を題材とし、様々な場面が同時進行で複雑に絡み合う「恋愛戯曲」だ。こちらは2、3年生を中心に制作され、セットも作りこんでいるという。公演期間は12月5日から9日までで、「熱闘!!飛龍小学校★パワード」のチケット半券を持参すると無料で鑑賞できる。詳細は自由劇場HP(http://home.kobe-u.com/jigeki/JIGEKI.html)で。

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