今年11月に中国、インドの国境地帯にあるカンリガルポ山群の未踏峰登頂に成功した神戸大・中国地質大の合同学術登山隊による報告会が12月26日、農学部キャンパスで行われた。学生2人を含む神戸大の隊員7人と中国地質大の隊員5人が参加し、登頂の軌跡や苦労話を披露した。【12月26日 神戸大NEWS NET=UNN】?
同登山隊は今年11月7日、カンリガルポ山群の未踏峰「KG-2」(標高6805メートル)の登頂に初めて成功。外国人の入山が極めて難しいとされている同山群は未踏峰の宝庫。6000メートル以上の峰の登頂は、世界初の快挙となった。
神戸大の隊員は山岳部OBらを中心に7人。現役の学生として近藤昂一郎さん(理・M2)、現山岳部長で初の海外遠征となった石丸祥史さん(農・2年)が参加した。近藤さんは、中国地質大の学生らが第1登を果たした後、山岳部OBで兵庫県職員の矢崎雅則さんとともに午後3時36分(現地時間)、第2登に成功。石丸さんは登頂こそしなかったものの、C3地点で隊員らのサポートを担った。
報告会では、登山隊実行委員長を務めた山形裕士農学研究科教授があいさつし、「多くの方々のご支援なくしては成功はなし得なかった」と感謝を述べた。続いて、隊員らの紹介、KG-2登頂の流れや現地での交流の様子が写真や映像を交えて発表された。
平成19年に派遣された同山群の偵察隊の一員だった近藤さんは、「(登頂は)長年の夢みたいなものだった」と振り返った。寒さに苦しみ、「手足の指が取れるくらい痛かった」。靴下を2枚履き、その間に唐辛子を入れて寒さをしのぐなど、工夫を重ねた末の登頂となった。
一方、食糧担当を任されていた石丸さんは、現地で食糧の調達などをしながら農業や生活について調査。「東チベットにおける農村調査」として、研究成果を披露した。現地の食生活について、「味噌などの調味料がおいしかった。(中国で調達した)インスタントラーメンが全部辛くて、慣れるまで時間がかかった」と話した。
未踏峰への挑戦を掲げる神戸大登山隊。同山群には、6000メートル以上の山だけで未踏峰が30座以上あるとされ、KG-2のように正式な名前がつけられず、番号で呼ばれている山も多い。「機会があれば、今度は石丸さんや後輩たちが登れるようにサポートしたい」と近藤さん。石丸さんも「今の力じゃ無理だと思った。鍛錬を積んで、自信を持って行けるようにしたい」と意欲を見せた。
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