出光佐三の理念をたどる 神戸大公開シンポジウム

神戸大公開シンポジウム「出光佐三の経営理念と日本型資本主義」が2月3日、神戸大学出光佐三記念六甲台講堂で行われた。行き詰まりを見せる現代の資本主義社会。出光氏の会社設立の経緯や経営理念を振り返り、今の資本主義社会に生かせることはないか、講演やパネルディスカッションが行われた。【2月5日 神戸大NEWS NET=UNN】?

 「事業を通しての人間育成」、「消費者本位の営業」、「商売による社会発展への貢献」など、利益主義とは違う人を基本にした経営理念を持っていた出光氏。
 シンポジウムの冒頭、福田秀樹学長は「グローバル社会を迎え、日本の企業はどう舵取りをすべきか転換期にある。出光の企業理念はその参考になるのでは」とあいさつした。

 出光氏は神戸大の前身校の1つ、神戸高商を明治42年に卒業。神戸高商時代の教育に大きな影響を受けたとされ、ともに働く人々を大切にする家族主義経営を実践し、出光興産を日本を代表する企業に育て上げた。講演者の一人、加護野忠男教授(神戸大大学院経営学研究科)は出光氏の「私の仕事は資本家と戦うこと」といった言葉を引き合いに出し、利益追求に走る資本主義とは違った経営理念の可能性を指摘した。

 また、パネルディスカッションでは出光興産の天坊昭彦代表取締会長を交えて「出光佐三の思想と創業」について意見交換が行われた。
 第一次世界大戦が起こった際、油不足を理由に他社は保有していた油の価格を釣り上げていたが、出光氏は取引先を思い価格を据え置いていた。消費者を第一に考える。こうして出光氏はお客さんとの信頼関係を築いていった。
 「日本型の経営とは利益を追求しつつも、時にお客さんのことを(第一に)考えているのでは」などといった意見が交わされ、出光氏の理念を通じて現在の企業経営の行く末を議論した。

 会場に訪れた工学部の男子学生(4年)は「このような人がいるとは知らなかった。経営に興味があったので楽しかった」と満足そうに話した。

●神戸大学六甲台講堂は改修の際に、出光興産株式会社から多大な支援を受けたことを顕彰し、創業者の出光佐三の名を冠して昨年、名称を「神戸大学出光佐三記念六甲台講堂」とした。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

月別アーカイブ

サークル・部活総覧

  1. 神戸大のサークル・部活のツイッター・アカウントを探せるぞっ!クリックすると、『神大PORT…
  2.  神戸大学の文化系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  3. 神戸大学のスポーツ系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  4. 神戸大学の医学部のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随時更…
ページ上部へ戻る