コラム伏流水 小惑星探査機「はやぶさ」

ぬいぐるみ、愛車、ペット。擬人化せずにはいられないものがある。人間の思い入れが非人間に人格を宿らせてしまう。7年におよぶ宇宙の旅を終えて地球に帰ってきた小惑星探査機「はやぶさ」も、そのひとつのようだ。【7月15日 神戸大NEWS NET=UNN】?

 順調な旅ではなかった。燃料漏れや通信途絶などのトラブルが多発。しかし、そのたびに地球からの指令に応えて切り抜けた。小惑星「イトカワ」の観測を終え、何とか帰還。最後は大気圏で華麗に燃え尽きた。
 ファンからは愛を込めて「はやぶさ君」と呼ばれる。苦難に耐えるけなげな姿に共感した人が多かったのだろう。はやぶさ君はかわいくキャラクター化もされている。
 しかし、最先端の技術を搭載し、死の危機を幾度も乗り越えたはやぶさに敬意を表し、筆者は「はやぶさ先生」とでも呼びたい。はやぶさ先生からは日本人の美徳めいたものがにじみ出ていた気がする。

 とはいえ、はやぶさは機械である。自然に生まれてきたわけではなく、裏には多くの開発者がいる。生まれてからも管制チームがサポートし続けた。人格を与えてしまうまではやぶさの完成度を高めた彼ら彼女らにこそ、最大の賛辞を贈りたい。

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