記憶の継承 議論する場に 国文学生ら、17日に震災映画上映

国際文化学部の学生らが、阪神・淡路大震災発生から16年となる17日、被災者の心の葛藤を描いた映画『その街のこども 劇場版』の上映会と「震災の記憶:その表現をめぐる省察と対話」と題したシンポジウムを神戸大百年記念館で開催する。被災者とそうでない人とが、震災の記憶をどのように語り継いでいくかを一緒に議論できる場を目指す。【1月12日 神戸大NEWS NET=UNN】?

 中心となって企画を進めたのは、国際文化学部塚原東吾教授(異文化コミュニケーション論)のゼミ生の6人。昨年11月、先行上映で『その街のこども』を観賞し、震災を経験した人と経験していない人との間の温度差を実感した。神戸では、17日には長田区の神戸映画資料館でしか上映されないため、「自分たちと同じ若い世代の人にも見てもらいたい」との思いから大学内での上映会を提案。さらに、被災者と非被災者とが、両者の間にある隔たりを認め、意見を交換しあえる場としてシンポジウムを企画に盛り込んだ。?

 ゼミ生の1人、横山聡子さん(国文・4年)は、普段何気なく過ごしている町が、被災者にとってはまったく違った意味をもつ風景になるということを知って怖くなったという。「もしかしたら、隣には特別な思いで同じ風景を眺めている人がいるかもしれない。このことに気づかないままだと風化はとめられない」。たつの市出身。震災による被害は小さかったが、自分の立場から発言するつもりだ。「(被災者と非被災者の)違いをなくすのは現実的じゃない。2011年の現在を生きる私たちなりに、違和感をもったり記憶を継いでいくことについて考えたりできるということを示したい」と話す。?

 シンポジウムでは、社会学者で、東京大空襲繊細資料センターの研究員でもある山本唯人さんが、東京大空襲の記憶を伝える取り組みを語るほか、『その街のこども』のプロデューサーの京田光広さん(NHK大阪放送局)が作品の制作意図を解説する時間も設けられる。?

 上映会は午後3時から(午後2時30分開場)。参加費無料(ただし、資料代として500円)。問い合わせは塚原研究室内「記憶と表現(神戸STS)研究会」(visa4skobe@gmail.com)へ。


編注)『その街のこども 劇場版』は、昨年1月17日にNHK総合テレビで放送され、大きな反響を呼んだドラマを映画化したもの。被災経験をもつ男女が震災から15年がたった神戸で出会い、それぞれの震災の記憶を語り合いながら17日の早朝までともに神戸の町を歩く。今月15日からは全国公開される。神戸では、長田区の神戸映画資料館で上映予定。?

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