阪神・淡路大震災で娘を亡くした上野政志さんが講演会「生きてこそ~1.17を忘れない」を12日、国文キャンパスM202教室で行った。学生ボランティア支援室が主催。 上野さんは、親より先に子が死ぬ「逆縁」のつらさ、生きることの大切さなどについて語った。【1月16日 神戸大NEWS NET=UNN】?
上野さんの娘の志乃さん(当時発達・2年)は、下宿のアパートで被災し、倒壊した建物に押しつぶされて亡くなった。がれきをどけていくと、志乃さんの足が見つかった。しかし、発見は翌日の朝。すでに命を落としており、手を触れると「氷より冷たかった」。「無力感、人間の小ささを感じた」という。
生前、志乃さんが「家族とは絶対的なもの」と書き残すなど、親子の絆は深かった。上野さんは「(親より子が先に死ぬ)逆縁は、時間が解決してくれない。悲しみを死ぬまで背負っていかないといけない」という。しかし、「忘れないうちは、(死者も)まだ生きている。絶対に忘れない」。今でも月命日近くの休日には、亡くなった現場へ向かう。
上野さんは佐用町の元小学校校長で、今も再雇用され教諭を務めている。小学生には、「親より先に死ぬことだけはあかん」と説く。若くして自ら命を絶つ者が後を絶たない状況に、「人生の何を知ったというのか。四苦八苦するのは生きている証拠」と憤る。
「生きてこそ。みなさんも命を大事にしていただきたい」。上野さんは、生きることのかけがえのなさを繰り返した。
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