阪神・淡路大震災から16年。1月17日、遺族や大学関係者、学生らがそれぞれの思いを胸に六甲台キャンパスの慰霊碑に訪れた。神戸大では学生、教職員合わせて47人（旧神戸商船大含む）が犠牲となった。【1月19日　神戸大NEWS NET＝ＵＮＮ】?

慰霊碑に来られた方のコメント?

●白木健介さん（当時＝経済・3年）の父、利周さん?
　（東遊園地での仕事があっても）ここだけは来たいね。なぜなら、ここは出会いを与えてくれたきっかけだから。12年前、ラジオの番組で慰霊式をやっていることを知って参加した。ラジオ聞いてなかったら出会うことはなかった。一歩踏み出すきっかけになった。?

●廣瀬由香さん（当時＝法・4年）の母、政子さん?
　10年間は主人と一緒に来てたんだけど、『行きたいときに行こう』ということになってからはたまにしか来ない。3年前の5月には（由香さんの）弟夫婦と私たちの4人で来た。由香は明るい桜が好きだったんだけど、その季節は外してしまった。?

●二宮健太郎さん（当時＝法・2年）の母、典子さん?
（震災翌年以来、15年ぶりに慰霊碑に。）?
　昨日三井教授が集いを開いてくれて、せっかくなので何とか来ようと思ったけど。やっぱりこの冷たさは辛い。息子にも『来れたよ』と言った。（冷たさというのは）王子の体育館の冷たさを思い出す。
　違う季節には年1回ぐらい来てるけど、1月はつめたさの中に（当時の）土のにおいがする。（健太郎さんは）生まれは豊中で、関西で生まれ育った。ずっと『僕は神戸に行く』と言っていた。?

●藤原信宏さん（当時＝経営・4年）の母、美佐子さん?
　1年に1回、毎年来てる。いろんな人に会えるのを楽しみにしてる。息子は公認会計士の試験に受かって、単位もとらなきゃとか忙しそうだった。?




●戸梶道夫さん（当時＝経営・2年）の母、栄子さん?
　いつも私と藤原さんと中村さんで来てるんだけど、今日はいつもより来てる人が多いかなという感じ。最初は泣いてばっかりだったけど、今は会えるのが楽しみ。?

●坂本竜一さん（当時工・3年）の父、秀夫さん?
　1月は早いこと過ぎないかなと思ってる。1月から12月の中で、一番憂鬱な時。16年経ったからと言って、息子に対する思いというものは変わらないが、7年、13年といった節目はある。?
　（息子の）地元の同級生が子供を連れているのを見ると、もし生きてたらと思うこともある。そんなことばっかり。うまいことよう言わん。?

●竜一さんの妹、史穂さん?
　東遊園地には結構行くけど、学校の慰霊碑には4、5年ぶりに来た。やっと来れたという感じ。東遊園地と学校は全然思いが違う。この大学へ来たいと浪人して入ったのを見ているので、こっちの方がお兄ちゃんの思い入れがあって、（兄と）会える感じ。?
　久しぶりに慰霊碑を見たら、雨風に風化しているのを見て、時間は経っているんだなって。?

●競基弘さん（当時＝自然科学研究科博士前期課程・1年）の母、恵美子さん?
　いつもあの子の17日を神戸で過ごす。最後に献花させて頂いて、今日から1年が始まるんだなーと思う。17年目に入るでしょ。元旦ではなく、17日が1年の始まり、亡くなった息子に恥じないように1日1日を大切に生きようと心新たにしている。?
　子どもさんを亡くしている親は、心の中みなさん一緒だと思う。さびしさや悲しさ。何も言わなくてもわかりあえる、同志の方々。?

●磯辺純子さん（当時＝教育・4年）の母、洋子さん?
　東遊園地に行って、ここへ来て、これから六甲道の下宿へ行く。どうにもならんなあという思いを持つ。日々は元気に暮らしているけど、ここへ来ると思い出してしまう。弟もいて、もう孫もいるので泣いてばっかりもいられないなと思うけど、1月は仕方ないな、と思う。?




●森渉さん（当時＝法・4年）の姉、祐理さん?
　（16年経って）逆にもっと伝えていかなくては、という思いが強くなった。忘れたいこともあるが、忘れてはいけないこともある。命の尊さとか時間が経つと忘れてしまう。
　（東遊園地で「しあわせ運べるように」を歌って）本物の幸せを運べるような存在に私たち一人一人がなるようにしなくては。（若い世代に対して）死を思いながら生きると、その日をとても充実して生きられる。そういうことを私自身震災後に感じた。悪い意味ではなく、良い意味で、死を意識して生きていってほしい。?

●震災当時の神戸大学長、鈴木正裕さん?

　なるべく、当日か1日ずれても来ようとは思っている。学生諸君を亡くしてしまったことは教師として一番つらい。青春まっただ中で命を絶たれて残念。安らかに眠ってください。
　最初の2日は学生部に連絡が来ない状態だった。当時の部活やサークルは活動していたみたいですが、3日目から学生部にだんだん連絡は入ってきて。犠牲者は覚悟していましたが。情けない。どうしようもなかった。?

●城本美紗子さん（文学部・2年）奈良県出身?
　（当時の）震災の記憶はない。2年の前期であった神戸大学史で慰霊碑のある場所は知っていた。偶然、社会科学図書館に本を取りに行って、今日やなと思って（慰霊碑には）来た。
　ニュースとかでは大きく取り上げられるけど、そうなんやと感じてしまう所があって、身近に感じるというか、他人ごとというか、自分の身に考えたりして。自分の行く大学、地域であった事で身にしみる思いがある。?

●井上由紀乃さん（発達・1年生）静岡県出身?
　静岡に（地震が）いつ来るかわからない。来ると言われているから、人ごとではない。神戸大であって、こんだけ死んでいるんだと。やっぱ本当の話。?
　発達で授業終わってきた。（初めて慰霊碑を知ったのは）入学式の時、何かあるなと思って。静岡では次来ると言われ、神戸に来たのも何かの縁。2度とこういう事起こって欲しくない。防災の事とか生かしていけたら。

●下田健介さん（24歳）、神戸大総務課で慰霊式典を担当。?
　出身は姫路市で確か小学校4年、3年。揺れたのは覚えている。救援物資とかが学校の体育館に集められていた。ここを通る時は手を合わせるようにしている。（手を合わせた時は）安らかにと。?

●山岸千香子さん（昨年まで神戸大で働いていた）?
　当時は東灘区に住んでいて、ひどい被害だった。震災自体は悲しいことだけど前を向いていかないと、だけど亡くなった人がいる事を忘れないで、祈らないと。?