【東日本大震災】大学と震災 都市安全研究センター・田中泰雄教授

東日本大震災から半年以上が過ぎた。甚大な被害をもたらした大規模災害で、現在も爪痕は残る。関西の多くの大学が復興支援へのりだしており、神戸大もまた、かつて阪神・淡路大震災を経験した大学として支援を行っている。都市安全研究センターのセンター長である田中泰雄教授の話をもとに、神戸大の、ひいては関西の大学の支援のあり方に迫った。【10月21日 神戸大NEWS NET=UNN】

8月3日、神戸国際会議場で開かれた「東日本大震災からの復興に向けて―神戸にできること―」と題した公開シンポジウム。神戸大の福田秀樹学長は講演で、神戸大は阪神・淡路大震災の経験をいかして復興支援に取り組んでいくとした。そのなかで、阪神・淡路大震災をうけて始めたもののひとつとして挙げられたのが「都市安全研究センター」。同センターは東日本大震災をうけて支援・調査活動報告会を継続的に行うなど復興支援のあり方を模索している。

同センターの田中泰雄教授は、典型的な都市型災害である阪神・淡路大震災と、超広域型災害と複合災害からなる東日本大震災の大きな違いをまずは認識したうえで復興に取り組む事が重要だと指摘した。

ここまで大規模な震災となると、非常に多様な災害問題を包括して理解しなければならない。「阪神・淡路大震災とは比べものにならないような、幅広い人間、分野、業種、活動で被災地と連携する必要がある」という。

神戸大は公欠制度、ボランティアバスの定期的な派遣をはじめ様々な支援に乗り出した。しかし、これほどまで大規模で多様な被害が出ると、一つの大学だけで完結していてはより効果的な支援はできないだろう。「多くの災害経験大学が連携して、東北を支援することが必要。このための枠組み作りが、行政分野の関西広域連合と比べて、大学関係では遅れている」。

また、大学はほかの機関ではできない息の長い支援が求められているという。「大学関係者のみが地元で非常に長く活躍でき、自治体や政府役人のように、職務を3年毎に交替するなどの弊害がない。大学が地域社会で持つ特長を活かして、息の長い防災・減災と復興に取り組む事が大事だと考える」。 では神戸大に何ができるのだろうか。

「神戸大の強みは総合大学である点。このため、多分野間の連携をまず学内で率先して行い、その枠組みを用いて関西の大学間をつないで、現地を支援する体制を構築していく責務があると思う。互いに学び、互いに協力して、関西の大学と一緒に大震災復興のための広域連合を推進すべきだろう」と田中教授は言う。

「神戸大のリーダシップが発揮されるべき」。かつて「震災」で学生44人を失った神戸大。今、その真価が問われている。

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