福島第一原発の20km圏内に建つ寺の住職を務める田中徳雲さんが3日、国際文化学部F102教室で開かれた「第2回ふくしまをきく会」で講演した。テレビや新聞の報道だけでは分からない、田中さんの実体験に基づいた話に、参加者らは真剣に耳を傾けていた。【2月5日 神戸大NEWS NET=UNN】
田中さんは福島県南相馬市小高区にある同慶寺と、双葉町にある仲禅寺の住職を務めている。3児の父である田中さんは、現在福井県で家族と避難生活を行う傍ら、頻繁に福島に帰って、現地で避難生活をしている人たちの支援をしている。
田中さんは寺で被災した直後、原発の動向に対して危機感を抱いていた自身と、比較的楽観的な地元住民の間の温度差を実感したそうだ。地元に残りたいという心情もあったが、「3児の父として子どもを守るために、なるべく遠くへ行こう」との思いで、地震当日の夜から避難を開始したという。しかし、地元の強い要望もあったため、現在は福井と福島を定期的に往復する生活を送っている。福島に帰るとき、最初の頃は線量計を持ち歩いていたというが、「音が鳴り止まず、不安になるだけだから持ち歩くのをやめた」と話した。
また田中さんは、原発事故後の政府や電力会社の対応を批判するとともに、「今ここで立ち上がらなければ間に合わない。考え方の違いを乗り越えて、子どもたちを守るため、原発の廃止を進めるのに全力を尽くしたい」と主張した。
鈴木一正さん(発達・3年)は、昨年11月、会津若松市にボランティアに行ったことがきっかけで、「ふくしまをきく会」を企画したそうだ。今回田中さんを呼んだのは、「12月に神戸であった田中さんの講演会で感動し、『多くの学生に聴いてもらいたい』と思ったから」だという。今回は学生の参加者が少なかったこともあり、もっと多くの学生を巻き込んでいきたいと意気込む鈴木さん。「この会が、少しでも福島のことに興味をもつきっかけとなったら嬉しい」と話した。
次回の「第3回ふくしまをきく会」は29日、国際文化学部C202教室で開かれる。問い合わせはsuzukobe@hotmail.co.jpまで。
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