巨大災害を経済学で分析 イェール大学経済成長センターと共催シンポ

神戸大経済経営研究所は、滝川記念学術交流会館で5月10日と11日、イェール大学経済成長センターとの共催シンポジウム「東日本大震災と阪神淡路大震災」を開催した。同センターの浜田宏一教授のコーディネートの下、イェール大と神戸大のほか東北大などの研究者が巨大自然災害に対する経済学的分析を発表した。同センターとの学術交流協定の期間満了を記念してのもの。【5月18日 神戸大NEWS NET=UNN】

会場には2日合わせて研究者や院生など約30人が集った。発表や資料はほぼ英語で、同時通訳も使われながら進行した。2日で合計約6時間、研究者がそれぞれの専門分野から巨大自然災害についての研究成果を披露し、知見を交換。 発表の途中でもたびたび質問が飛ぶなど、活発な議論が交わされた。

イェール大学経済成長センターのT.N. Srinivasan名誉教授は、10日、福島原発事故から学ぶ教訓について講演をした。まず福島原発事故を詳細に振り返り、「Fukushima」後の世界の原発開発について述べた。新興国を中心に、事故後も改めて原子力発電を肯定する国が多数あった。一方で、原子力の安全性や規制について公衆の広い関心や反対を生み出したという。また、「確率は低いが、もし発生すれば非常に高い社会的費用がかかる事故のアセスメントを軽視するべきではない」と述べ、原発事故を引き起こしうる自然災害のより深い統計的分析が必要だと指摘した。

同じく10日、 「フィジカルなダメージをどうやって経済学のタームになおすかが、我々のやらなければいけないこと」と述べたのは、神戸大の小池淳司工学研究科教授。SCGEという分析手法を用いて、大地震が発生した場合のシミュレーションを発表した。例えば静岡に大きな被害出た場合でも、高速道路を使えるようにすれば、もともと51%である他の地域への波及的被害が20%に減らせるという。

そのほか、東北大から堀井亮教授、神戸大から萩原泰治・経済学研究科長などが参加。11日、最後は神戸大の浜口伸明・経済経営研究所長の言葉で幕を閉じた。

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