美術部凌美会の部長である島田賢二さん(海事・3年)による個展「島田賢二展」が、10月9日から14日までギャラリー花六甲(神戸市灘区)で開かれた。島田さんが個展を開くのは今回が初めてで、高校と大学で制作した絵画を中心に13作品が展示された。【10月15日 神戸大NEWSNET=UNN】
島田さんは大学入学後凌美会に入ってから本格的に絵画の制作を始め、主にアクリル画を専門としている。一般的に求められるような作品のメッセージ性にとらわれず、描きたいと思ったものを自由に表現することをモットーに制作を続けてきた。会場には、日常の風景や物語の一場面に空想的なアレンジを加えた絵画や、壊れたエレキギターにペイントを施した工作など独特の作品が並ぶ。
中でも見る人の目を引いたのは、聖母マリアがキリストの妊娠を知る様子を描いた「受胎告知」だ。新約聖書に登場するこの場面は、ルネサンス期に多くの画家によって表現され、マリアに受胎を知らせに来る天使、そしてユリの花が必ず描かれている。島田さんはこれらを踏襲しつつ、オリジナルの表現を加えることで自分の色を出そうとした。2週間の制作期間のうち大半を構図に費やし、途中でレイアウトの変更も行いながら徹夜で仕上げた。完成作品を見ると、天使が羽だけになっており、マリアの顔もマンガの女性のような顔をしている。さらにマリアの口には呼吸器のようなものがついており、まるで手術台に載せられているようだ。しかしこれらが融合することにより、作品は独特の迫力ある世界観を醸し出している。島田さんは「古い題材を現代風にすることで上手く迫力を出せた。思うままに描いたものなので見る人にも自由に感じてほしい」と満足そうに話していた。
初の個展開催に当たってはポスターの制作が遅れるなど広報が十分ではない面もあった。「やはりより多くのお客さんに見てもらいたい。そのためにも機会があればまた個展を開きたい」。大学院進学のために凌美会での活動は今年いっぱいとなる可能性もあるが、島田さんは社会人になっても絵を描き続けていくつもりだ。
凌美会では12月11日から16日にかけて新人展を予定している。場所は今回と同じギャラリー花六甲で、入場は無料。
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