母校にお帰りなさい 第7回ホームカミングデイ

神戸大の卒業生が集う第7回ホームカミングデイが、10月27日に開催された。六甲台キャンパスでの記念式典を幕開けに、各キャンパスで講演会や交流会、在学生による催しなどが行われ、訪れた卒業生は久しぶりの母校を懐かしんだ。また、今年は記念式典内で、同窓会のネットワーク作りに貢献した卒業留学生2人に「神戸大学功績賞」が送られたり、後半部でブルーグラスサークルの演奏が行われるなど、新たな試みも見られた。【10月31日 神戸大NEWS NET=UNN】

記念式典は毎日放送アナウンサーの斎藤裕美さん (2008年・海事科学部卒) を司会に、出光佐三記念六甲台講堂で開催された。福田秀樹学長が冒頭に挨拶したのち、神戸大同窓会のネットワーク構築事業において活躍した、経営学部の卒業留学生である南相水 (ナム・サンス)さん、プラパン・ヘータクンさんに、学長特別表彰として「神戸大学功績賞」の授与が行われた。その後、川崎重工業取締役会長の大橋忠晴さん (1969年・工学部卒) が「神戸と私」と題して講演を行った。

式典の最後を明るい音楽で飾った、ブルーグラスサークルのバンド「キミドリ」は、普段は居酒屋などのにぎやかな場所で演奏することが多いという。式典でも、明るい比較的明るい曲調のものを3曲、披露した。「キミドリ」メンバーの後藤大輔さん(工・3年)は「式典の真面目な雰囲気にはやっぱり緊張しした。でも、それだけ聞いて下さる方が真剣だったので、ありがたいこと」と振り返った。

●課外活動からボランティアまで 「神戸大基金」取組み展示会

六甲台キャンパスのアカデミア館2階では、神戸大学基金のコーナーが設けられ、基金を使った取り組みがいくつか紹介された。

「神戸大基金」とは、昨年10月1日から施行された学内の制度。「神戸大の学生の課外活動をさらに盛り上げよう」というコンセプトのもと生まれた。公認の文化部、運動部が学務部学生支援課に所定の書類を提出すると、数万円程度の至急を行うというものだ。

東北ボランティアバスも、基金に関わる取り組みの一つとして発表した。このコーナーには、過去10回にわたる派遣で得られた現地の声を発表したものや、ボランティアバスから派生した、被災地に街灯を贈る取り組み「 ”ほっ”とな灯りプロジェクト 」の紹介が掲示された。

神戸大基金に関する詳細は以下のページまで。

神戸大基金に関する記事

●「女性の多様化」恋愛に影響? 国文現代文化論講座学生ら研究発表

国文キャンパスF棟では、午後2時40分から、同学部の現代文化論講座に所属する学生4人により「『恋愛できない』女たち-21世紀日本のテレビドラマに見るロマンティック・ラブの終焉-」と題した研究発表が行われた。会場にはOB、OGを中心に約30人が集まり、学生が提唱するバブル期と現代の「恋愛」の違いについて耳を傾けた。

研究発表は、1991年放送の「東京ラブストーリー」と、2011年放送の「私が恋愛できない理由」のストーリーを比較検証しながら、バブル期から現在の恋愛の変遷を検証するというもの。雇用機会均等法などの法整備によって女性の生き方が多様化したことで、「恋愛=結婚=性交渉」というイデオロギーは崩壊したという結論を導いた。

発表途中には、リハーサルまでは完璧だったという映像機器の不具合で発表が滞るアクシデントが発生。しかし、ユーモアを交えつつの発表手順の変更で、最後まで参加者の興味を集めた。後半、調子の整った映像機器で「東京ラブストーリー」のワンシーンを見ながら論の補強をする場面では、当時当たり前と思われていたであろう登場人物甘い恋愛物語に、参加者からは笑い声が起こるなど、発表は終始和やかな雰囲気で幕を閉じた。

●幻の地下トンネルに潜入 工学部キャンパスツアー

工学部では14時20分より同窓生を対象としたキャンパスツアーが行われた。キャンパス内の歴史的記念物や最新研究などを紹介するツアーだが、なんと向かう先は地下である。

工学部敷地内の都市安全研究センター実験室から通じる地下階段を一列になって降りていくと、漆黒の闇が参加者達を包んだ。鶴甲地区から国文キャンパス、工学部敷地の下を潜って大阪湾まで通じる全長3.7kmの地下トンネルである。1961年に完成したもので、当時団地造成のために鶴甲山をまるごと削り取り、発生した土砂を運び出すためのベルトコンベアー道として使用された。事業終了後もトンネルは残り、現在に至っている。今回公開された工学部敷地下の部分は、ボーリング調査やミツバチの行動解析研究に使用され、さらには地震観測のための地震計も設置されている。同窓生たちは初めて足を踏み入れるキャンパスの「穴場」に関心しきりの様子だった。

参加者の一人は「トンネルの存在は全く知らなかった。めったに見ることのない貴重な体験になった」と満足そうに話した。また、ツアーの案内役を務めた都市安全研究センターの市成準一さんは「トンネルが現在でも有効に活用されていることを知ってもらえれば」と話した。

●「発達らしさ」随所に光る 発達科学部創立20周年記念講演

鶴甲第2キャンパスでは、発達科学部の独自企画として「発達科学部創立20周年記念講演」が行われた。発達科学部の前身である教育学部卒業生で落語家の露の団六師匠を迎え、教育や障害などの話が織り込まれた軽妙な噺に終始笑いの絶えない講演となった。

いつもは授業で使われる教室に金屏風と高座が用意され、出囃子も流される落語家らしい登場。学生時代にはまさかこんな状況で喋るとは思わなかったとは言いながらも神戸大教育学部で過ごした自らの思い出を語った。

「灘の酒」と「タダの酒」を間違えるところから始まる、神戸にゆかりのある噺を挟み、講演後半では師匠にダウン症を持つ兄がいること、息子が教員になるために特別養護施設に実習へ行ったことを明かした。笑いに変えるには扱いにくい話題を明るい調子で話す師匠の語り口によって、幼児教育から発達支援まで人間の発達に関するあらゆる分野をカバーする発達科学部らしい講演となった。

講演会に出席していた発達科学部同窓会の会長も務める宮崎昭周さん(発達・1959年卒)は「教育学部も発達科学部も根底に流れるものは一緒。人間として何をすべきか考えて今の発達の学生には研さんを積んでもらいたい」と話した。

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