110年記念、振り返る大学の危機 69年大学紛争

 今年度、晴れて110周年を迎えた神戸大。関連の記念イベントも多く開催されているが、110年の歴史の中には、その存続を脅かすような出来事もあった。【11月19日 神戸大NEWS NET=UNN】

神戸大の歴史の中で、卒業式や入学式が中止となった異例の年がある。それは1969年、学内で紛争が起きた時のことだった。

神戸大の大学紛争のきっかけは、大学側が、それまで国が負担していた住吉寮の寮費を学生負担にしようとしたことによる、寮生の反発にあった。突然の申し渡しに不満を持った寮生は、大学側に対する抵抗運動を開始。その後、各学部でくすぶっていた学生達の不満が次々と爆発し、大学全体を巻き込んだ学生運動へと発展した。

学生らは、当時六甲台にあった神戸大本部を封鎖し、教養部(現在の国際文化学部)にバリケードを張り巡らせ、根城を築き上げて抵抗した。

1968年12月から徐々に波及していったストライキやバリケード。大学側は、翌年8月に機動隊導入によって全学部の封鎖が解かれるまで大学でまともに授業が行えない状態が続いた。

当時どのセクト(派閥)にも所属していなかったというある卒業生は、当時を「激動の時代だった」と振り返る。珍しい例だが、約半年間授業のない間、ゼミの先生が、六甲台キャンパスの芝生で青空授業を行ったことさえあったという。

大学紛争によって、学生の主張を大学がすぐに受け入れた具体的な事例は少な い。だが、結果的にこの騒動によって、大学が自身の運営について学生に広報し、学生に意見を求める姿勢が生まれるようになったことは確かだ。「今考えてみれば、学生にとっても大学の在り方を考えるきっかけとなったのでは」と、卒業生は語った。

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