今年３月末に休学をして、「行きたかった場所に行くため」自転車で旅に出た望月健司さん（文・４年）。北上しながらさまざまな人に出会う中、東尋坊（福井県坂井市）で自殺志願者を思い留まらせる活動をしているNPOに参加した。参加後、自殺目的で東尋坊を訪れた女性の自殺を防ぎ、一般紙にも取り上げられた。未だ旅の途中だが、一時神戸に帰ってきた望月さんに話を聞いた。【６月１５日　神戸大NEWSNET＝ＵＮＮ】

３月末に神戸を出発し、東尋坊に到着したのは４月１４日。そこからＮＰＯ法人「心に響く文集・編集局」の活動に参加した。一人での見回りにも慣れた頃、家庭の事情で自殺を考えていた女性を発見。話し相手になりながら、女性が睡眠薬を大量に飲んでいたため応援を呼び、無事保護に至った。後日その女性とその家族からお礼を言われたそうだが、望月さんはそのお礼の言葉を受け止めかねている。「正しいことをしたのかどうかは分からない。自殺を止めたことでその人の状況が急に変わるわけではないし、その人の選択を、僕が関わったことで変えてしまったという感覚は持っている」と話す。そして「自殺は悪いことなのだろうか、そもそも自殺を『良い』『悪い』で割り切っていいものだろうか」と今も考え続けている。

もともとは就活をする前に自分自身のことや生き方を考えるために出た旅。複数のボランティア団体に所属し、その中で感じたことや考えてきたことを「消化」しながら、現在は石巻や北海道に自転車で向かっている。何をするかはまだ未定だが、出会った人と触れ合うことだけは変わりない。旅を終えた時、道中で考えてきたことを実行に移したいと考えている。休学期間は始まったばかり。望月さんの旅はまだ終わらない。