たかが1年の留学だが、帰って来ると浦島太郎気分を味わうこともある。
留学前に改築が始まったお化け屋敷のような旧住吉女子寮は、ごく普通の小奇麗なアパートに生まれ変わっていた。居室はすべてキッチン、トイレつきの完全個室になり、食堂はなくなった。家賃は月700円から5000円につり上げられた。
旧女子寮の居室はたったの4畳。居住歴の長い者が2畳を独占し、新参者は残りを2人でシェアする。プライバシーも糞もない共同生活だった。共同の冷蔵庫には、「人のものを食べるな!」という貼り紙がされていた。屋上に上がれば眼下に広がる光の海を一望することができた。星がとても近かった。
帰国後のすみかは、女子寮に隣接する国際寮の1人部屋だ。トイレとミニキッチンが付き、6畳と広い。でも夜景は私の部屋からは見えない。屋上には上がれない。
ため息をつきたいとき、ふとTwitterを開く。その度に思う。「ネットに発信するほどのことではないよなあ」。寂しいというわけではない。しかし『咳をしても一人』を、下宿生活3年目にして初めて体感している。「コホンッ……」。
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