大学と学生の溝深く 部室要項巡り波紋

 要項は、利用時間がすでに定められている課外活動共用施設の利用規則とほぼ同じ内容。課外活動で使う以上、部室も共用施設と同じ扱いにするというのが大学の認識だ。学務部学生支援課の中村俊彦さんは、利用時間の制限を設けることは必要としつつ「(要項を制定した)主な目的は安全管理を徹底すること」と説明する。

   かねてから学内の安全衛生委員会より大学施設の安全管理強化が求めらており、学務部では部室や共用施設の安全点検を継続的に行ってきた。そして昨年、部室や共用施設の物品整頓や衛生状態をチェックした「安全衛生管理点検書」の提出を学生に義務づけることに。共用施設については年度初めに提出する「長期使用許可願」と併せて点検書も提出するようにしたが、部室については明文化されたルールが存在しなかったため要項が新設された。そのなかで利用時間も共用施設に合わせて午前9時から午後9時となった。規則でなく要項に留めたのは規則制定に煩雑な手続きが必要で、来年度からの運用に間に合わないと見込んだためだという。

 鶴甲第1(国文)キャンパスで活動する学生震災救援隊(救援隊)などは、昨年から24時間の課外活動を求めて大学側と交渉を続けていた。そのさなかでの要項制定について中村さんは「交渉中の団体には不信感を買ってしまったかもしれない。部室の利用時間については話し合いで合意を得たい」と今後学生と対話の場を設ける構え。一方で「共用施設については利用時間を守っていない学生も多い。すでに規則があることを理解してほしい」とも話した。

  ●学生たちは
 代表の関本龍志さん(法・3年)は大学側の対応に憤りを隠せない。1月7日の学務部との話し合いの際は、要項についての言及は一切無かったという。また「安全管理が目的なら点検表の提出を求めるだけで済む話。わざわざ要項を作ったのは、課外活動を制限したいという意図があるから」と不信感を募らせている。

   六甲台第1キャンパスで活動する美術部凌美会も、展覧会前などは深夜まで部室に残って製作活動をすることが多い。部員の島田賢二さん(海事・4年)は「いきなりの決定にびっくりした。昼間は大学が忙しいメンバーも多く、大きな作品は家に持って帰って描くわけにもいかない」と困惑した表情で話す。凌美会の部室は利用時間の規則が以前から定められていた課外活動第3共用施設内にあるが、「これまで守衛さんから利用時間について注意されたことは無かった」。共用施設内の部室が共用施設規則の適用下にあったかは不透明だ。

   また、リートレに参加していた天文研究会の男子学生は「利用時間に制限をかけるのは仕方ないと思うが、やり方が一方的で正直言って横暴。今後は団体同士がもっと連携して大学側と話し合わないといけない」と話す。

   今後はまず国文キャンパスで活動する団体向けに話し合いの場が設定される見込み。昨年から続く課外活動を巡る一連の騒動はまだまだ長引きそうだ。

  ◆キーワード
  <課外活動共用施設>
   大学公認の課外活動団体が使用する施設で、各キャンパスに合わせて6棟が設置されている。施設内には複数のサークルが共用する「共用室」、用具を保管する「器具室」、その他トレーニング室などがある。利用時間は午前9時から午後9時までで、「長期使用許可願」の提出も既存の利用規則によって義務付けられている。施設内には個別の団体の「部室」も存在するが、利用規則ではこのスペースの扱いについて触れられていない。大学側は規則の適用下にあったと説明しているが、一部学生は利用規則で触れられていないことを理由に異を唱えている。
 
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  ◎部室利用時間の認識にずれ 学生「午後9時まで」寝耳に水
  http://home.kobe-u.com/top/newsnet/baknews/baknews.html

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