吉村さんが絵を描くテーマに据えているのは「力強さ」。自分の描きたいものに最も合う表現方法は何か模索しつつ描いていた。水彩やパステルといった一般的な画材はもちろん、なかには木の枝やCD、本を表現の1つとして利用した作品もある。「いろいろ試したけれど、アクリルやボールペンでモノクロの絵を描いていくのが、自分の表現に合っているような気がする」と話した。吉村さんが、その表現がよく表せたと話す作品が「メガデス」だ。アクリルで描く黒と白とのコントラストの中に力強い生命力を感じさせる。たまたま立ち寄ったという男性も「学生だがすごい」と感嘆していた。
吉村さんは今回の「凌美会展」で最多の21作品を出展、そのなかのほとんどは3年のときに描いたものだ。その中の1つ、「中二大戦」という壁画は展示会の返しぎりぎりにアイディアが浮かび、制作を開始した。サイズは200×300mmと大きく、部室で描くことが不可能だったため外で描き、5日ほどで完成させたという。「搬入時は雨で、乾ききっていないから気を遣った」と苦笑していたが、その顔には達成感があった。
「中二大戦」(3月2日・兵庫県民会館で 撮影=小山絢子)
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