【新入生要注意】留年キャンパス24時 望まぬモラトリアム「どうしてこうなった」

・堕落の果てに

「学部一のクズだから」と自嘲気味に話す男子学生(経営・2年)は、2年前期の時点で留年が確定した。3年次ゼミ配属のために必要な単位数「40」に届かなかったためだ。

入学直後は週6日サークルの新歓をハシゴし、「授業は来週から行こう」と平日も朝帰り昼起きの生活。新歓期が終わっても遊び癖が抜けなかった。酒とタバコと遊びに浸るうちに経済状況は悪化し、夜勤のアルバイトを始めた。昼夜逆転の生活が染みつき、大学に行くのは2週間に1回。「人が言う『授業に出ない』とはレベルが違う」。

テスト期間は友人を駆使してレジュメをかき集め、あの手この手を尽くして毎期ぎりぎり2ケタの単位数を確保してきた。しかし2年前期のテスト期間に3日連続で徹夜したことがたたり、重要な科目のテストに寝坊。結局8単位しか取れずジ・エンドとなった。「入学してすぐは解放感と新歓のもてなしで調子に乗りやすい。でも早めに切り替えて授業に出ないと本当に死ぬ」。男子学生はそう語った。

【写真】「学校に行く文化が無い」と語る男子学生

・授業に出ても

授業に出ているにもかかわらず留年してしまう学生もいる。女子学生(工・3年)は研究室配属される4年次への進級が出来ず留年となった。

所属する情報知能工学科は単位認定が特に厳しく、必修単位をすべて揃えないと4年生になれない。留年者は学科生の2割以上とも言われる。また、進級のために単位が必要な科目の内訳も複雑。学科内の研究室で「留年防止サービス」という進級のために必要な単位数とその内訳を割り出してくれるwebツールが開発されるほどで、多くの学生が利用している。

「授業内容は難しく、日頃から自学をしないと単位は取れない」と女子学生は話す。しかしプログラミングの演習課題が週に10個出される時もあり、なかなか授業の理解まで手が回らないという。加えて各年次必修科目が多く、再履修になるとと同じ時限の専門科目が履修できないという悪循環に。「勉強そっちのけでゲームをしたり、気を抜いて怠けたこともあった」と言う女子学生。しかし「浪人もしていて金銭的負担が大きい。就職のリスクもある」と切実だ。

・好機に変える

同じく情報知能工学科の男子学生(3年)は、実験レポートを提出し忘れ3年次の必修科目を落とした。それまでコンスタントに単位を取っていただけに無念の留年。しかし「むしろ単位に縛られず自分のやりたい勉強をじっくりやれる」と前向きだ。留年が決まってからは学科のプロジェクト科目に集中的に取り組み、志望する研究室の専門分野の勉強を深めている。「学費はバイトで稼ぐ。インターンにも行くし、サークル活動も頑張りたい」。4月から2度目の3年生としてのスタートを切るが、自分を見極める1年になりそうだ。

留年へ至る道は人それぞれ。ハンデをバネに、留年生活を有意義に過ごせるかがカギとなる。

・単位認める教員は

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卒業に必要な単位を揃えるための労力は、学生の能力だけでなく授業の難易度にも左右されやすい。経営学部で難解なゲーム理論を教える宮原泰之准教授は「簡単に単位が取れるような楽勝科目の存在が、学生の勉学意欲を削いでいる」と指摘する。

宮原氏は、例え単位を取ることを目的とした勉強であっても、その過程で専門理論などを学生に身に付けさせるようにすればいいと考える。全く授業内容を聞かずともレジュメだけ揃えればなんとかなるような楽勝科目は、教員が教えることを放棄しているという。「今は大学の外でも色々な経験ができる時代。学生に勉学に目を向けてもらうためには、課題を出したりテストを難しくすることも必要」。自主性を履き違えた放任主義による大学のレベル低下を危惧する。

自学部の留年する学生については「学校来てないだけでしょ」と苦笑い。サークルや起業活動にのめり込むなど様々な要因に理解を示しつつ、「やっぱりお勉強してほしい」と話した。

【写真】宮原泰之准教授

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