◎ガチで「フクシマ」にアプローチ 米国人映画監督と学生らトーク

 「フクシマをガチで考える」。福島原発事故ドキュメンタリーを撮り続ける在日米国人のイアン・トーマス・アッシュ監督を招いたトークイベントが、7日に瀧川記念学術交流会館で開かれた。主催したのは原発問題研究に取り組む国際文化学部塚原研究室の学生たち。放射能被害の不安と闘う被災地の人々の映像を鑑賞し、アッシュ監督と学生らが英語で意見をぶつけあった。

 アッシュ監督は最新作『A2-B-C』で、福島第1原発の近隣地域で暮らす子どもの甲状腺検査をテーマにした。被災当時18歳以下だった子どもの甲状腺がん発生率が高いことが分かっているが、放射線被害との因果関係は立証されていない。福島県の甲状腺検査では、甲状腺に水分がたまってできる「のう胞」が小さい子どもは「A2」と判定され、その後の精密検査に進めない。わが子の健康に不安を抱える母親や、「当面は安全」という行政の主張を信用出来ない住民たち。被災地からの人口流失も進んでいる。アッシュ監督は「僕は放射能の専門的な知識は分からない。ただ専門家だってどんな影響があるかは『わからない』。僕に出来ることは現場に行き、人の話を聞くことだけ」と話す。

 会場には留学生を含め学生ら30人以上が集まった。トークセッションでは「フクシマの問題を他人事にしないためには」「原発の再稼働をどう思うか」「将来世代への負担は」など、濃い議論が繰り広げられた。学生らの英語の質問に、アッシュ監督は流ちょうな日本語を交えながら熱っぽく答えた。「福島も沖縄も、日本は田舎に問題を押し付けている。簡単に現地のことを分かった気にはならないでほしい」。

 東京の上映イベントでのアッシュ監督との出会いがきっかけ。塚原研究室の学生の数人は4月に福島第1原発に隣接する浪江町を訪れており、「何か発信できないか」という思いから今回のイベントにつながった。ゼミ生の崎口舞さん(3年)は「アッシュ監督が何を撮ろうとしたかを知ることで、原発問題について考えるきっかけになれば」と話した。

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