12日、神戸大生らの国際支援NGO「PEPUP」など3団体が、映画『ヴィック・ムニーズ~ごみアートの奇跡~』の上映会をコミスタこうべ(中央区)で主催した。ブラジルのごみ問題をテーマにした映画鑑賞を通し、各国が抱える同様の問題について参加者全員で理解を深めた。
映画は米国在住のブラジル人芸術家ヴィック・ムニスが、リオデジャネイロの大型ゴミ処理場「グラマーショ」でアート活動を展開するドキュメンタリー。処理場でのリサイクル品回収で生計を立てる「カタドール」と呼ばれる人々と協働で、彼らの肖像をリサイクル品で表現したアートを製作する。有名オークションでの高価落札を狙い、収益金をカタドールたちに還元する支援プロジェクトだ。作品で描かれるのは、貧困にあえぐスラムでしぶとく生き続けるカタドールたちの人間ドラマ。ムニスとのアート製作を通じて、カタドールたちは現状を変える道を模索し始める。ごみ問題についての一方的でない国際支援のあり方を捉えた作品に、参加者は見入った。
PEPUPの佐藤祐子さん(国際協力研究科・修士課程)は、ブラジル滞在時に研究の一環と してカタドールの待遇改善を求める市民運動に参加。彼らとの交流を通し「問題を知ってほしい」と、神戸女子大の国際協力サークルなどと共に今回のイベントを企画した。学習会も兼ねるため、冒頭にはラテンアメリカ専門家の高橋百合子准教授(国際協力研究科)による、同地域の社会問題を取り上げたミニ講義も実施。またメンバーが訪問したフィリピンやタイなどのごみ問題について、パネル展示などを行った。上映後のワークショップでは参加者が映画の感想を共有し、今後どうすべきかについて意見をぶつけ合った。佐藤さんは「国際支援に興味が無くても、映画を見て自分自身の生活や目標を見つめ直すきっかけにしてもらえれば」とイベントに込めた思いを話した。
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