●単位取得が短期で可能、海外留学促す目的
―クォーター制の仕組みについて詳しく教えてほしい―
現状の前後期の区分は維持したまま、授業の開講期間を4つに分割する。「2学期クォーター制」と呼んでおり、4学期制とは異なる。例えば2単位の科目は週2コマの15回授業となり、1つのクォーター(開講期間)で単位取得となる。期末試験もクォーターごとに分散されて年4回となる。長期休暇は第2クォーター後の夏休みと第4クォーター後の春休みだけで、休みの長さ自体も基本的にはこれまで通り。第1・第3クォーターの期末試験が終わったら、翌週から第2・第4クォーターが始まると考えてもらえればいい。前後期の区分は残るため、学費納入や入学・卒業は従来どおりの枠組みで取り扱うことになる。過年度生の卒業扱いについても同様だ。
―どのような目的で導入されるのか―
やはりグローバル化対応ということがある。クォーター制では短期での単位取得が可能になる。このため6月から8月にかけて海外の大学のサマースクールや、海外インターンシップへの参加がしやすくなる。また6月から休暇に入る海外の大学から留学生を招き入れたり、著名な教授を呼んで特別授業を開講するということも可能になる。これまで海外留学は、交換留学以外では長期休暇中か休学して1年行くかというように限られていたが、学生にとっては留学のプランが増える形になる。
―いつごろから検討されていたのか―
2011年に東京大が秋入学の構想を立ち上げたのをきっかけに、大学役員の間で秋入学の検討を始めた。しかし実現が厳しいという結論になり、すでに他の大学でも導入が決まっているクォーター制に切り替えた。教職員レベルでも昨年の春から検討を重ね、今年7月の教育研究評議会で導入を決めた。
●キャップ制に変更点、「全休」クォーターも
―授業が多いと学生も留学しにくいのではないか―
サマースクールなどと重なりやすいクォーターに必修科目を極力設定しないようにする。文系学部では留学時期の選択幅も広いが、必修の多い理系学部だとそうもいかない。そのため例えば2年の夏期のクォーターのみ必修授業を開講しないなど、学年と時期を絞った配慮が必要になる。
―するとキャップ制にも変更はあるのか―
恐らく年間か学期ごとの上限は設けるが、クォーターごとにキャップは設定しないだろう。開講される科目の数や種類にもよるが、クォーターによって履修にメリハリをつけることができる。時間を有効に使いたい学生は、どのクォーターに授業を入れないかを自由に決められる。
―期末試験や成績発表の回数が増えることによる弊害もあるのでは―
教職員の事務処理が煩雑になるため、対策を検討している。試験の採点から成績発表までは1ヶ月程度かかる。学生にとっても例えば第1クォーターの成績発表前に第2クォーターの履修が始まってしまうなどの問題もある。将来的にはクォーター間に短い休みを入れることも考えられる。
●教養原論は1単位科目に、英語による授業増やす
―授業形式にも変更点が出てくるのか―
学部の専門科目の授業については週2回の開講が可能になるだけで大きな変更点は無い。しかし、教養科目はクォーター制に併せて大きく変える。
―いったいどのように変えるのか―
まず週1回開講の1単位科目として内容を凝縮させる。その分学生が履修できる科目数を増やし、専門外の学問分野への幅広い理解を促す。例えば「哲学」「経済学」「法学」「理学」などと基礎科目の区分を設け、それぞれから数科目の履修を義務付けるといった形にする。また教養教育は4年間スパンで行うものとし、3・4年生向けの教養科目も充実させる。これは対話型の授業にし、英語を使って他学部の学生と討論をするといった内容を考えている。同時に専門科目でも英語による授業を増やしていきたい。
●さらなる改革の可能性も
―クォーター制導入には国からの改革要望もあるのか―
大学設置基準が平成25年度に改正され、多様な授業期間の設定が可能となった。これを受け、神戸大による自発的なグローバル化対応のための取り組みとして導入した。
しかし国からは大学組織自体の改革を求められているため、クォーター制を足掛かりにかなり思い切った改革プランの検討も始まっている。
―導入に向けて課題も残っているが―
教職員や学生の意見を積極的に聞きたい。導入後も新たな問題点の頻出が予想されるので、改善を重ねながらよりよいものにしていきたい。
単なる授業期間の分割に留まらず、教育内容改革の足掛かりともなるクォーター制。現在の2年生以下は実際に経験するだけに、今後の動向に注目が集まる。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。