普段は閑静な県営岩屋北町住宅(約60世帯)の小さな広場に、提灯が飾られ舞台や模擬店が並ぶ。復興住宅やその近隣から集まった住民たちを浴衣姿の学生らが出迎えた。舞台は高齢者に配慮して段を撤去。盆踊りのやぐらも無い。それでもちんどん屋サークル「神大モダン・ドンチキ」の演奏や、住民と学生合同のカラオケ大会などで会場は大いに沸いた。現場リーダーの向井美幸さん(経済・2年)は「住宅のすぐそばで祭りをすれば、体や足の不自由な方も参加しやすい。コミュニケーションも密に取れる」と話す。
N.A.C.は毎週末復興住宅でお茶会などを開き、住民のコミュニティづくりに取り組んできた。祭りは活動の中でも最大のイベント。普段のお茶会にも欠かさず通う復興住宅在住の女性(89)は「もう近所の盆踊りも体がしんどくて行けない。住宅の間近で祭りを開いてくれて本当に助かる」と笑顔を見せる。卒業したOB・OGを含め、多くの学生が顔なじみだという。
住宅外からの参加者も多く、祭りは内外の交流の場にもなる。「気持ちは若いんだからたくさんの人と仲良くなりたい」と近隣住民の男性(83)。普段のお茶会も近隣の参加者が増えるなど、N.A.C.の活動が新たな「つながり」の場を生んでいる。
◆復興住宅とは…県や市町村が整備し、災害被災者などに安価で貸す公営住宅のこと。阪神・淡路大震災のものについては、現在居住者の高齢化・単身化が深刻になっている。
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