- Home
- ニュース, 文化・社会ニュース, 阪神・淡路大震災
- ◎【1月号掲載】震災から学ぶ
阪神・淡路大震災から20年。街は復興し、学生は安全な日々を送っているように見える。しかし、災害の危険性が消えたわけではない。再び震災が起きた時、私たちは生活を守ることができるのか。
神戸市住宅都市局によると住宅の耐震化率は86%(2008年)。しかし、担当者は「築年数が古い住宅などはオーナーが解体とのコスト比較をして、耐震化に消極的な場合もある」。阪神・淡路大震災の時に亡くなった神戸大生の多くは家賃5万円以下の木造アパートに居住していた。現在、学生が入居する安い物件には築年数が古い建物も多く、安全とは言えない。また、神戸大名誉教授の室崎益輝氏(当時=工学部建設学科教授)は「学生の部屋の中の家具や電化製品などは固定されておらず、地震が起きれば凶器になる」と指摘する。
学業に与える影響はどうか。当時、授業は1月17日から29日まで全面休講。次年度の5月まで再開できなかった授業もあった。大学本部は「その都度会議で決定するので一概には回答できない」とコメント。理学部理学研究科教務係は「建物がおおむね無事な場合、座学ならば15日後くらいをめどに授業再開を考えても良いと思う。大規模精密実験装置を使った卒業研究の場合、阪神・淡路大震災では近隣大学の設備を借りて研究を再開したこともある」と話した。
大学から学生への安否確認は電話での直接連絡だったが阪神・淡路大震災では応答が無いことも多かった。東日本大震災でも被災地の大学が安否確認で苦労したことを踏まえ、神戸大は昨年4月からメールによる安否確認システム「ANPIC」を導入。11月には防災訓練にてテストメールが送信されるなど、準備が進む。一方で室崎氏は「連絡手段があっても、友達がいなければ助けを求めることも協力することもできない。非常時に安否を共有できる友達を作ること」とも話す。
防災対策は進んでも、個々人の意識までは変えようがない。「自分の身近な場所がどのような被害を被ったのか知ってほしい」と室崎氏。普段から防災を心掛けた生活が求められる。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。