【1月号掲載】震災取材を経て

 阪神・淡路大震災が起きた当時、私は大阪府に住んでいた。まだ1歳だったこともあり、震災の記憶が全く無い。震災に関する教育をあまり受けてこなかったこともあり、災害が人に及ぼす影響を真剣に考えたことはなかった。特に阪神・淡路大震災は、自分を含めた同じ世代の学生たちにとって話題にすら上らない教科書の中の出来事のように感じる。

 取材をした遺族の中に「他人から受ける『頑張れ』などの励ましの言葉でかえって不快な思いになった」と言う方がいた。なぜ励ましの言葉が不快な気持ちにさせるのか、最初はよく分からなかった。だが、話を聞くにつれ理由が分かった。大切な身内を亡くして、悲しみを乗り越えるのに精一杯な人にこれ以上「頑張れ」と言っても、逆にその人を追い詰めることになる。自分にとって驚きだった。遺族の苦しみを理解している人は少ないのではないかと思う。

 遺族の心には、大切な身内を亡くした悲しみが当時から変わらず残っている。心の傷を知り理解することが本当の意味で震災を知ることだと思う。今の学生たちに震災のことをもっと真剣に知ってもらい、考えてもらうために当事者の声を届けていきたい。

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