◎母恵美子さんも出席

 レスキューシステムの発展に大きく貢献した若手研究者を表彰する競基弘賞の授賞式と記念講演会が、23日に神戸国際会議場(神戸市中央区)で行われた。阪神・淡路大震災で犠牲となった競基弘さん(当時=自然科学研究科修士課程)がロボット研究をしていたことにちなんだ賞だ。6人の研究者が表彰を受けたほか、基弘さんの母、恵美子さんも姿を見せた。

震災から10年目の2005年に始まったこの表彰事業。第10回を迎える今年はレスキューシステムの学術業績や企業での応用研究のほか、分野の異なる東日本震災での緊急医療や心理ケアの業績に対しても医学部門賞、心理学部門賞が贈られた。

学術賞を受賞した昆陽雅司氏(東北大准教授)は、災害時に瓦礫の中など狭い所での捜索を容易にする「能動スコープカメラ」を開発。微細な毛の振動でカメラのケーブルを動かし、数センチ単位の隙間を柔軟に駆動することができる。また医学部門賞を受賞した近藤久禎氏(国立病院機構災害医療センター)は、福島第1原子力発電所事故での緊急被ばく医療活動に尽力。18万人を超えるスクリーニングや、避難区域の病院患者の搬送プロジェクトに携わった。

基弘さんの指導教員の1人だった松野文俊氏(京都大教授)は「災害救助だけでなく、復興過程でのメンタルケア等にも役立つ技術がたくさんある。多分野に開いた賞にするとともに、若い人が災害研究の重要性を考えるきっかけ にしてほしい」と話した。

母の恵美子さんは、2年半前亡くなった夫の和巳さんの遺志を受け継ぎ参加。「主人はこの賞が始まったとき『まず10年は続けたい』と言っていた。賞には基弘のことを忘れてほしくないという思いもあった」と振り返る。「息子の『人の心を助けたい』という思いを受け継ぎ、レスキューシステム研究に励む方へのささやかな支えになれば」と微笑んだ。

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