毎年11月に鶴甲第一キャンパスで開催される厳夜祭は、今年の開催の可否を巡って実行委員会と大学側の交渉が続いている。厳夜祭の危機はこれが初めてではない。約10年前にも、来場者数が減り存続が危ぶまれたことがあった。復活の影には、ある夜間主生の3年にわたる努力があった。

 夜を徹して開催される厳夜祭は、長らく夜間主生の学祭として親しまれてきた。しかし、知る人ぞ知る内輪の祭りとしての色合いが強まり来場者数は減少。2005年には50人ほどになってしまった。ついにはその年で終了するという噂も流れた。坪田卓巳さん(09年経営夜卒)は厳夜祭を「OB・OGや地域住民が大学に集まる貴重な場」だと感じていた。「誰もやらないなら俺がやる」と坪田さんは06年から08年にかけて実行委員長を務めた。

 坪田さんは「学生の祭りとしてやっていたら立てつけが悪くなる」と考えていた。そこで地域との関わりを重要視。阪急王子公園駅前の水道筋商店街から機材を借りてイルミネーションを行うなど、新企画を試みた。07年には祭りの中で行われるビンゴ大会を、同年に起きた新潟県中越沖地震のチャリティーイベントにした。こうして厳夜祭には新たな特色が生まれた。

 一方、夜間主生の募集が07年度入学分で終了したため、来場者の間口を広げる必要があった。坪田さんらは昼間主生や留学生が集まる場所でチラシを配り、広報活動を強化した。その結果、昼間主生の有志が模擬店を出すなど、昼間主生の取り込みに成功した。

 しかし危機は再び訪れる。05年と06年に六甲祭で学生が泥酔する騒動が発生。これを重く見た大学側は、六甲台地区で開催されるイベントでのアルコールの販売・持ち込みを禁止する通知を出した。坪田さんらは「他の地区の大学祭では許可されていることがなぜ六甲台地区だけできないのか。趣旨も開催主体も違う祭りを六甲台地区でひとくくりにするのも無理がある」と主張。大学側との交渉の末、厳夜祭のみ許可を得ることに成功した。

 復活した厳夜祭は坪田さんの卒業後も来場者数を増やし、最盛期には約5000人に達した。しかし、昨年は大学側の決定により午後10時までの開催となり、アルコールも禁止となった。さらに、今年の開催自体も不透明な状況だ。坪田さんは「厳夜祭にはユニークな魅力がある。大学が地域とのつながりを深める入口にもなれる」と厳夜祭の可能性を強調。「(お酒のトラブルなどへの)対策をして自分たちの思いを伝えれば、やりたいことは何らかの形でできる。学生が大学生活の主人公であるはずだ」と厳夜祭の開催に期待を寄せた。

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