理学研究科は特別講演会「ニュートリノ研究の最前線」を10月30日、理学部Z201・202教室で開いた。ノーベル物理学賞の受賞が決まった東京大宇宙線研究所長・梶田隆章氏と共同研究の経験がある理学研究科・竹内康雄教授が講演。梶田氏の業績を初心者向けに解説した。
ニュートリノはこれ以上分けることのできない、物質の最小単位「素粒子」の一つ。地球を通り抜けてしまうほど小さいため、観測するのが難しいことで知られる。梶田氏は「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象の観測に成功し、ノーベル賞を受賞することになった。ニュートリノ振動は、3種類あるニュートリノが、空間を飛ぶ間に種類が移り変わる現象。振動が起こるにはニュートリノが質量を持っている必要がある。振動の観測によって、それまで質量が無いという前提で作り上げられてきた理論を覆す結果となった。
竹内教授は同研究所時代に、岐阜県飛騨市にある世界最大の素粒子観測装置「スーパーカミオカンデ」で梶田氏と共同で研究していた。講演会では自身の経験を踏まえながら、素粒子物理学の発展の歴史や、現在世界で進められているニュートリノ研究について解説。スーパーカミオカンデの内部の写真などをスクリーンに映しながら、構造や役割を説明した。
講演会は素粒子物理学が専門の武田廣学長の発案によるもの。「梶田氏の受賞決定後、マスコミで報道が続いているがニュートリノに関する詳しいことはあまり伝えられていない」と武田学長は感じていたという。関心の高まりを表すかのように、学生だけでなく地域住民も多く来場。大阪府交野市から来たという高校2年の女子生徒は「高校の理科の先生から教えられて放課後急いで駆けつけた。外国の実験施設の話も聞くことが出来てよかった」と話す。
竹内教授は 「日本人がノーベル賞を受賞することをきっかけに、いろんな人に研究を知ってもらえれば」と期待を示した。
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