◎地方発のユニークな働き方 ボラ支援室がイベント

 学生ボランティア支援室は10日、仕事について考えるイベント「なりわいカフェ」を山口誓子記念館で開催した。「ボーダレスなジモトをイキル」をテーマに、地方で新しい仕事を生み出してきたゲスト3人が講演。約30人の聴衆が耳を傾けた。

 なりわいカフェは、将来就く会社や業種の選択ばかりに気をとられがちな学生に、働くこと自体の意義を自由に語れる場を設ける試み。2014年7月から不定期に開催され、個性あるゲストが多様な働き方を紹介している。5回目の今回は、「ナリワイ実践者」を名乗る伊藤洋志さん、ローカルジャーナリストの田中輝美さんを講師に迎えた。

 伊藤さんは、生活の中から生み出す、頭や体を鍛えられる仕事をナリワイと定義。地方でパン屋を開くためのワークショップや、素人が床張りを楽しみながら修得し半ば職業化させる活動など、生活と遊びを一体化した仕事の創出を手掛けている。「後先のことはそんなに考えていない。小さな仕事でも堅実に成功させると、誰かが聞きつけて『こういうこともできるのでは』と声を掛けてくれる」と、ナリワイで仲間が増える魅力を感じるという。

 地方紙記者だった田中さんは2014年に「新しいことがしたい」と独立。地元・島根に住みながら地域の記録・発信に取り組む。ローカルジャーナリストの肩書きも田中さんが作った。本を出版する傍ら、地域の観光マップも製作するなど、活動の幅は広い。田中さんは島根を「課題先進地」と捉えている。少子高齢化など将来の日本が直面する課題が、より早く現実化しつつある地域のことだ。「課題先進地ゆえに、課題解決先進地にしたい人々が集まる。消費を楽しむのが都会なら、地方には作る喜びがある」と話した。

 後半には、神戸大篠山フィールドステーション(篠山市)で、同市の地域おこし協力隊として地域貢献に携わってきた瀬戸大喜さん(発達・4年)や、同隊前コ ーディネーターで島根大助教の高田晋史さんも加わり、小水力発電事業など同隊の取り組みを紹介した。

 来場した立命館大3年の女子学生は「農山村地域の活性化について研究している。お金を稼ぎたいから働くのではなく、生き方そのものを見つめ直して今後に生かしたい」と感慨深げだった。

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