【連載・災後の日常(1)】1年間休学、故郷を支える

map_nishihara 4月16日未明、熊本県西原村。阿蘇山麓にある人口約7千の小さな村を震度7の揺れが襲った。

 村出身の寺本わかばさん(経済・2年)は同24日に帰省し、傷ついた故郷を目の当たりにした。脳裏に浮かんだのは、1月に岩手県陸前高田市を訪ねた時のこと。東日本大震災から5年近くたっても、市民の心に刻まれた傷は深いままだった。

 西原も同じようになってしまうのだろうか――。込み上げた思いに突き動かされ、寺本さんは1年間の休学を決意。ボランティアセンターに入り、村を回り、どんな支援が必要とされているかを聞き取っている。

 6月中旬時点でも村は復旧作業に追われている。高齢者が多く、自宅の片付けがなかなか進まない。上水道は復旧が遅れ、通水しても飲み水として使えない地域も多い。

 震災から2カ月が過ぎ、課題が具体的に見えてきた。半壊世帯が被災者生活再建支援制度による支援金を受給するには、自宅を解体する必要がある。自前で修理するか、解体して支援を受けながら建て直すか、被災者は選択を迫られている。

 寺本さんが力を入れているのが、倒壊を免れた家屋に留まる高齢者への訪問活動。「方言で話しかけると『孫としゃべっているようでうれしい』と顔をほころばせてくれる。訪ねることの大切さを実感している」と話す。

 梅雨に入り台風の季節も近づく。余震も続く中、被災者の不安は募るばかりだ。「一人一人が抱える問題に寄り添いたい」。寺本さんは故郷を支え続ける。

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