2016年度のボランティア講座が2月20日、鶴甲第1キャンパスのラーニングコモンズで開かれた。障害者が自身の体験を話し、社会で「普通」とされる物事を問い直す必要性を訴えた。
学生ボランティア支援室や学内の学生団体「総合ボランティアセンター」(総ボラ)と「学生震災救援隊」が主催した。講座は1997年度から毎年開かれ、今回20回目を迎える。
講座では、視覚障害のある学生らで作る団体「関西Student Library」から弱視の藤本真由さん(佛教大・4年)と、全盲の竹安遥さん(京都外国語大・2年)が登壇した。藤本さんは、ぼんやりと物が見え、拡大鏡を使えば文字も読める。ただ速い動きはできず「回転寿司店で皿が取れなかった」と苦笑した。
竹安さんは1人暮らしで、料理や裁縫もこなす。社会の認識とのずれを感じるといい「(駅で)券売機まで案内してくれれば十分なのに、切符を代わりに買おうとしてくれる人がいる。ありがたいが、自分でできるのにと思うことがある」と話す。「(できないことだけでなく)できることの説明も必要」と、健常者が固定観念にとらわれがちな現状を指摘した。
このほか発達障害者で神戸市ピアカウンセラーの笹森理絵さん(46)は、発達障害は本人の特性だと説明。「当事者は社会で不便を感じ、不安が重なると最悪の場合うつ病を発症してしまう。本人が障害を自覚し、周りも本人の特性に合わせて配慮することが大切」と強調した。
聴覚障害者らで作る一般社団法人「手話エンターテイメント発信団oioi(オイオイ)」のメンバーらも参加。手話や筆談が必ずしも当事者に喜ばれるとは限らない実情を語り、「どんな対応を望んでいるかは各個人によって異なると分かってほしい」と主張した。
今回の講座の内容は総ボラと救援隊に所属する石山周さん(発達・3年)が企画。「自分たちとは違う、こういう世界の感じ方があると気付いてほしい」と来場者に呼び掛けた。講座には約10人が来場。法学部2年の女子学生は「一人一人に合わせたちょっとした配慮が大切だと認識できた」と話した。
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