【コラム伏流水】自分の個性に気付くとき

 「神戸大生なのにエビフライの向きも分からないのか」。アルバイト先のレストランで、盛り付けを間違えてお客さんに出した時、店長に怒られた。「神戸大生なのは関係ないだろ」と思う前に考えたことがある。「神戸大生」とは一体何か。

 その場に神戸大生は私しかいない。「神戸大生」は私を指し、それが私の特徴になる。しかし、大学で講義を受けているときはどうか。教授の話を聴き、ノートにペンを走らせているのはみんな神戸大生。「神戸大生」は誰か1人を指すわけではない。

 私は鳥取県で生まれ育った。周りは当然鳥取県民。出身を尋ねられることはないし、方言を珍しがられることもない。関西へ来て、方言を話すと出身地を聞かれる。「鳥取」と答えると、相手の頭の中の私に関する情報に「鳥取出身」が付け加えられる。地元を出て初めて、「鳥取出身」が私の特徴になった。

 日本から離れると「日本人」ということが私の個性になる。男性ばかりの場所に行くと、「女性」であることさえ個性になるかもしれない。アルバイト先以外の場所では、「レストランでアルバイトをしている」ことも私の特徴の一つだろう。今いる場所で当たり前のことが、違う場所で珍しがられることは多い。置かれた場所で自分の個性になる点は変わる。

 「自分の個性が分からない」と嘆く声を耳にすることがある。一度今の場所から離れてみると、自分の個性に気付くことができるかもしれない。

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