◎批評同人誌の在り方議論 「夜航」など4誌同人登壇

 批評同人誌の編集者らが批評メディアの在り方を議論するワークショップ(WS)がこのほど、人文学研究科の若手研究者支援プログラム主催で開かれた。神戸大からは4月に創刊し10月に第2号が出版された「夜航」の編集責任者、中村徳仁(のりひと)さん(国文・4年)が登壇。学生や研究者ら50人以上の聴衆が、議論に耳を傾けた。

 WSは11月19日に文学部の学生ホールで開かれた。中村さんのほか「ヱクリヲ」編集長の佐久間義貴さん、「G―W―G(ゲー・ヴェー・ゲー)」同人の立尾真士(まこと)さん、「子午線」同人の綿野恵太さんがパネリストとして招かれ、司会は人文学研究科の梶尾文武准教授(国文学)が務めた。

 中村さんは大学に入る際に教養主義的な雰囲気が薄く期待はずれだったことや、会員制交流サイト(SNS)の「いいね!」に代表される学生の情緒的連帯への違和感を「不機嫌」と表現。夜航の創刊に際し「不機嫌を共有したいという思いがあった」と明かした。

 批評同人誌の在り方に関する議論では、佐久間さんが「批評空間の多様性を維持するため外から人を連れてくることが必要」と指摘。読者層の多様性を広げるため、映画や音楽のレビューやブックリストを掲載する工夫を紹介した。一方立尾さんは、雑誌を売る行為に対して資本主義の力学がどのように働いているか自覚的であるべきだと話した。

 綿野さんは同人誌は商業ジャーナリズムと距離を置きつつ、支持者としての読者をつなぎ留めることで、批評の自由を担保する媒体を目指すべきだと主張した。
 
 質疑応答では同人誌の編集姿勢やデザイン性などに関する質問が相次ぎ、WSは当初の3時間の予定から1時間延長して終了した。梶尾准教授は取材に「若い人やアカデミズムの外部にいる人が、何を考えているのか知りたかった」と企画意図を説明。中村さんは「(聴衆からの)質問の内容も良く楽しかった。もっとこうした試みを大学が率先してやってほしい」と期待を語った。

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