【コラム伏流水】日常と非日常の境

 夜空を照らす宝石を見た。大学1年の時だ。辺りが暗くなる時間に大学を出たとき、目に入ったのは闇の中に浮かぶきらめき。こんなに美しい夜景があるのかと驚いた。しかし時がたてば宝石はただの石ころに。夜に大学を出ても夜景に目を留めることはなくなり、宝石は日常のものになった。

 新生活を始めると、今まで非日常だったものが日常へと変わることはよくある。逆も言えることだ。大学を離れると、夜空の宝石も輝きを取り戻すのだろうか。日常と非日常の境を考える。

 大学進学を機に鳥取から神戸に来た。テレビの中でしか聞いたことのなかった関西弁が飛び交う環境に、私が感じたのは大きな違和感。道行く人々がみんななじみのない話し方をしている。非日常の世界に迷い込んだ感覚だった。

 進学半年後に帰省した。久しぶりに地元に足を踏み入れたとき、懐かしさに先立って半年前と同じ違和感を持った。言葉のアクセントや語尾が関西と違う。住所を書くときも、無意識に実家ではなく下宿先の住所を書くようになった。非日常だった神戸での生活が、いつの間にか日常に。そして慣れ親しんだ鳥取の生活が非日常になった。
 
 5年後10年後、私はどんな日常を送っているのだろう。ダイヤモンドも黒鉛も構成原子は同じ。今手元にある鉛筆が、ダイヤモンドになっているかもしれない。

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