「神戸 闇市からの復興 占領下にせめぎあう都市空間」(慶應義塾大学出版会)を11月、出版した。戦後、現JR三ノ宮~元町駅周辺にあった闇市の成り立ちから現在の商業地につながっていく過程を、GHQの占領政策と合わせて解明している。
神戸で育ち、発達科学部を卒業後、人間発達環境学研究科に進んだ。神戸の闇市を研究し始めたのは博士課程前期のとき。現在の神戸の街はなぜつくられたのか、それ以前はどうだったのか、と考えたことがきっかけだった。「神戸の、忘れられたが大きな変化があった部分である戦後の街の復興・新たな街づくりを拾ってみようと思った」と話す。戦災復興期、三宮周辺に広がった闇市の研究を始めた。
1945~49年に発行された神戸新聞の通覧をベースに、当時の写真や地図、公文書など、膨大な資料を調査。闇市と人々の動きを描くことで戦後、三宮が神戸の商業の中心になっていく経過を明らかにした。「小さな生活再建の総体で、都市の復興を描くことができる」。神戸に限定して書くことにこだわった。
特に研究テーマを探している学生に読んでほしいという。「(同書を読んで)研究の手法を自分で作っていくことの面白さを感じてほしい」と語った。
A5判、388ページ。4536円(税込み)。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。