理学研究科の末次健司講師(生態学)は、鹿児島県の屋久島で「ヤッコソウ」の生態を調査し、スズメバチやゴキブリ、カマドウマなどの昆虫が花粉を媒介していると明らかにした。カマドウマが花粉を運ぶという発見は世界で初めて。
ヤッコソウはシイの根などから栄養分を得る寄生植物。光合成をせず、日光の届かない林床で育つ。末次講師は「花を咲かせる植物の約9割は動物が花粉を運ぶ。林床ではどのような動物が花粉を運ぶのか調べることにし、(林床で育つ植物の)一つとしてヤッコソウに焦点を当てた」と話す。
スズメバチなどは最近まで花粉の送粉者と考えられていなかった。末次講師は「カマドウマやゴキブリは種子の運び手としても機能することが明らかになっている。『嫌われ者』を含め、思いもよらない生物が生態系の中で重要な役割を果たしている例はまだまだあると考えられる」という。
末次講師は今後の研究について「光合成をやめた植物に限らず、日本の生物多様性を生かし、自然界の不思議を一つでも多く明らかにしたい」と語った。
末次講師らは2月にも沖縄県で光合成をしない植物を発見し「オキナワソウ」と名付けた。
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